金曜時評

想像超える浸水域 - 論説委員 増山 和樹

 8月に入って9個目の台風が28日に発生した。今後、勢力を拡大しながら日本に近づくと予想されている。週が明ければ新学期も始まる。備えを怠りなく、今後の進路に注意したい。

 西日本豪雨災害以降、ハザードマップへの関心が高まっている。堤防の決壊で大きな被害を受けた岡山県倉敷市真備町地区で浸水地域がハザードマップとほぼ重なったほか、愛媛県や広島県でも、土砂災害の発生場所がハザードマップの予測を裏付ける結果となった。

 ハザードマップは過去の災害や地形をもとに、各自治体が作成している。河川の氾濫や土砂崩れで被害が予想される地域を地図上に表示、浸水の規模も「大人の腰の高さ」「1階の軒下まで」など色分けして示されている。

 インターネットで公開されている奈良市や橿原市のハザードマップを見ると、浸水すると予想される地域が広範囲なことに驚かされる。大きな河川から離れ、普段の生活では洪水を想像しにくい地域でも、いったん川が氾濫すれば、水が押し寄せることが分かる。インターネットでの公開はもちろん、広報紙への折り込みなどで家に届いたこともあるはずだ。台風の接近が増える9月を前に、改めて目を通しておきたい。

 西日本豪雨災害では、ハザードマップの有効性が注目される一方、「見たことがない」という住民も多かった。自分の住居がどのような立地にあるのか、普段から認識することが迅速な避難行動につながる。ハザードマップへの関心が高まっているこの機会こそ、各自治体がその存在と活用を住民に呼び掛ける好機だろう。

 ハザードマップには避難所も示されているが、自分の住む地域にどの避難所が割り当てられているかも知っておきたい。最も安心できるはずの自宅を出て避難所に向かうのは、かなり思い切りのいる行動だ。避難所の敷居を下げ、早くから利用してもらうためにも、避難所を身近な場所にする必要がある。自宅から歩いてもらったり、避難所での防災訓練が有効だろう。避難経路の危険箇所も併せてチェックしたい。

 西日本豪雨災害では、被害の発生が夜間であったことに伴う避難の遅れや高齢者の逃げ遅れ、ため池の決壊などさまざまな課題が指摘された。同じことはどこでも起こりうる。自然災害に「まさか」が禁物であることを肝に銘じ、課題克服のために進まねばならない。

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