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米ぬか靴下の鈴木靴下 地元三宅町に初の直営店 7月1日オープン

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「歩くぬか袋」を手に開発に懸けた思いを語る鈴木社長=29日、三宅町小柳の鈴木靴下新店舗

 商品名は「歩くぬか袋」。三宅町の鈴木靴下が、米ぬか成分を練り込んだ靴下の開発に着手したのは20年ほど前のことだ。試行錯誤の末に完成した靴下は今や大手流通店でも販売され、「履くと肌がつやつやになる」との評価も定着、7月1日には同町に初の直営店舗をオープンさせる。店内では「歩くぬか袋」開発の歴史もパネルで紹介、生みの親である鈴木和夫社長(64)の思いがこもる。

 

 鈴木靴下はスポーツソックスの製造会社で、鈴木社長は2代目。小学生の頃、ぬか袋で拭いた廊下がピカピカになった。この体験が、米ぬか靴下誕生の原点となった。開発に着手したのは45歳の時。最初、鍋に靴下とぬかを入れて炊いたがうまくいかず、「ぬか袋のような靴下を作りたい」と和歌山県工業技術センターを訪ねた。同センターには米ぬかの研究で知られる谷口久次さんがいた。

 

 谷口さんに米ぬか成分の抽出方法を教わり、再び挑戦。試作品が完成したが、モニタリング調査の結果、洗うと効果が落ちることが分かった。このため、大手紡績会社に米ぬか成分を糸に練り込んでもらう交渉に出る。

 

 興味を持たれた半面、生産規模や将来展望を突っ込んで聞かれ、地方の靴下工場で取り組むハードルの高さを感じた。それでも持ち前の情熱で説得、作り直しを重ねて安定した糸が出来上がった。

 

 良い商品も売れなければ意味がないと、その糸で編んだ靴下や資料をかばんに詰め込み東京に出るが、回った専門店では門前払いの連続だった。肌つや効果の持続性の裏付けが必要と痛感、試験を外注した。「1回200万円の試験を繰り返すので、皆から冷ややかな目で見られました」とほほ笑む。励みは谷口さんの「最後には良いものができる」との一言だった。

 

 再び大手流通店への交渉に挑んだが、過度のストレスから商談後に目まいを感じることもあったという。苦労が実り、イトーヨーカ堂に商品が並んだ時の感慨は忘れられない。「販売は素材開発の10倍難しい」

 

 米ぬか靴下は好評を得てシリーズ化、知名度も上がった。ただ、インターネットでの廉売や店頭で無機質に商品が並ぶ光景に「それでは商品性は伝わらない。開発に懸けた思い、情熱を商品と一緒に伝えたい」との思いを強くし、直営店の開設を決意した。

 

 鈴木社長は「鈴木靴下のモノづくりへの心意気と価値観を届ける。大切なのは気持ち。スタッフにはノルマもありません。三宅を拠点に、娘、孫の代まで視野にゆっくり進みたい」と爽やかに話した。

 

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