奈良市が県域水道一体化懇談会 料金設定など意見交換
奈良県域水道一体化について有識者や議員、市民らから意見を聞く奈良市の2回目の「懇談会」が22日、同市役所で開かれた。
冒頭、先月の第1回会合に欠席した仲川元庸市長があいさつ。「市や市民にとって水道事業の統一は、将来にわたる重要な判断を迫られることになる。熟議を賜り、市の正しい判断につなげたい」と述べた。
同市の水道事業は9割が自己水源で、年間総水量(20年度決算)約4270万トンの8割を占める緑ケ丘浄水場の水製造単価は自然流下により1立方メートル当たり69円。ポンプアップが必要な木津浄水場でも同105円で、全体の1割にとどまる県営水道の130円を下回る。430億円(利子含む)を要した布目ダム、170億円(同)を要した比奈知ダムの建設負担金の償還も昨年度末に終え、今後は年間30億円以上の施設更新も可能な状況となっている。
そうしたなかで始まった県域水道一体化への参加の議論。懇談会では統一化で県が示したシミュレーションや、水道料金の仕組み、投資水準と水道料金のバランスなどの資料をもとに質疑や意見交換。委員らからはシミュレーションの根拠等について「県から直接説明を聞きたい」の声も出たが、「シミュレーションは条件等により数字も変わる。こだわり過ぎるのはよくない」との意見や、「いきなり料金を統一するのはハードルが高い」「統一料金にすべきなのか悩ましい」の声も。
「そもそも価格を一本化する(目的について)市民のコンセンサスも得られていない」との指摘もあり、「願いは安心安全な水を維持すること。市には下水道事業も課題として残されており、それらをクリアした上での統合。なぜ県は事業を急ぐのか」などと疑問の声もあった。