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音羽山観音寺 後藤住職の花だより - 2022年春 ねこもち編

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 昼食を何にするかすでに決めていた後藤住職がもち箱を運んできました。フタを開けるとカラフルな「ねこもち」。ねこもちとは、もち米とうるち米を半々にして棒状のもちにしたもの。ここは音羽山観音寺。材料はあるもので作っていました。

 

 

 

乾燥鏡もちで ねこもちを作る

 

 時計の針は12時。

 

 「お昼だね」とにっこりとする住職。

 

 もち箱を開けると、古代米とギンナン、エビ、ムラサキイモ、ヨモギと節分の豆、エビと節分の豆、節分の豆だけの6種類のねこもちが入ってました。ホットプレートに2人分並べるととてもカラフルになりました。

 

素材の味そのものを生かしたねこもち。塩は入っていない

 

 「これは鏡もちで作ったのよ」

 

 コロナ禍の前は鏡もちで、1月17日の初観音の日に御接待で雑煮にして出していたそうです。今は御接待ができないので、鏡もちが余ってしまうようになりました。

 

 お正月の鏡もちを乾燥させ細かくします。ふたのある発泡スチロール箱にもちを入れて、粉カラシを水で練って入れたコップを2つ用意。もちと一緒に入れて上から新聞紙をかぶせます。フタをし、テープで頑丈に封印します。

 

 「この間のお休み(火曜日)の日に封を開けて、ねこもちを作ったの。封印して2カ月、カビが生えてなかったら作ろうと思ったのよ」

 

 一度フタを取ったら再びフタをすることはできません。カラシの殺菌力が消えてしまいます。

 

 「鏡もちで、ねこもちを作る方法は高野山で修業している時に教えてもらったのだけど、高野山では作らなかったわね」

 

 高野山の作り方は乾燥した鏡もちを水に入れてもう一度蒸し、ご飯とゴマやコンブと一緒にすり鉢で煉って作ります。

 

 そんな手間のかかることは無理という住職。鏡もちを水に入れて取り出し、レンジでチン。ご飯と具材を一緒に、もちつき機に入れてついて完成です。

 

 「古代米とギンナンのねこもちは、つきすぎたのかつぶれちゃってね。ギンナンの形がないの」と紫色のねこもちを見て言います。

 

 「ねこもちってね。ご飯が入っているから冷めてもすぐに硬くならないからおいしいのよ」

 

 香ばしく焼きあがった6種類のねこもち。味が異なるので楽しみながら食べることができます。今あるもので作るだけなのですが、それがごちそうになるので不思議です。

 

少しぷっくり。焼き上がったねこもち

 

 

信者からの賜りもの 生こんぶで浅漬け

 

 「たくさんいただいたのよ」

 

 玄関に山盛りの野菜。奈良漬けを作ったり、干し野菜にします。中でも浅漬けは住職の好物のひとつです。

 

 「信者さんから送ってもよいですか?と言われていただいたのが生こんぶ。乾燥した昆布しか見たことなかったから、これで白菜の浅漬けを初めて作ってみようと思ったの」

 

 1枚の昆布は長くて切ったものでこの状態。

 

これくらいの長さで白菜2個分の浅漬けができる

 

 「これくらいで白菜2個分の浅漬けができたわ。生こんぶ軽く洗ってから細かく切って、白菜も切って混ぜて重しをするだけ。塩蔵生こんぶだから塩も必要ないし、昆布からうま味が出ておいしくなるしね」

 

 作って2日目の浅漬けがねこもちと一緒に食卓に並びます。

 

浅漬けたっぷり。ねこもちに合う

 

 「まだ少し浅いかな。明日ぐらいが食べごろかな」と言いつつパクパクと食べます。

 

 「好きだからね。サラダみたいに食べてるのよ」と住職の笑みがこぼれます。

 

 

 

音羽山観音寺

山の中にある尼寺。桜井市南音羽

JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km

火曜日閉門。17日の観音縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門

 

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