歴史文化

太安万侶の墓誌に毛筆跡 - 銘文と同じ文字/橿考研発見

新たな毛筆痕跡が見つかった太安万侶墓誌の3次元CG画像(県立橿原考古学研究所付属博物館提供)

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 「古事記」の編さん者として知られる太安万侶(おおのやすまろ)の墓誌(重要文化財)から、銘文と同じ文字の毛筆の痕跡が新たに見つかり、県立橿原考古学研究所が4日、発表した。書かれた性格は分かっておらず、類例のない“謎の文字”に研究者の間で議論を呼びそうだ。

 墓誌は昭和54年、奈良市此瀬町で見つかった。銅製で長辺29・1センチ、短辺6・1センチ、重さ76・52グラム。片面には平城京内の居住地と位階勲等、没年月日、埋葬年月日を記した41文字が2行にわたって刻まれている。

 今回、古事記編さん1300年の年に合わせた県の新規事業で、3次元形状計測によるコンピューター・グラフィックス(CG)画像や、顕微鏡、肉眼による観察などの調査を実施した。

 墓誌下部約3分の1で刻字された銘文各行の左に、平行した2条の線(幅1ミリ)があり、人為的なものとして観察したところ、文字の跡だと分かった。

 文字痕跡は右上の刻字と同じ字で、1行目の「安萬侶以癸」と2行目の「十二月十五日乙」の計12字が確認された。いずれも文字の輪郭部分が凸状に残り、顕微鏡観察の結果、さびと判明。毛筆の文字が経年劣化したとみられる。

 刻字と毛筆痕跡は字形や大きさが類似。両者の前後関係は明らかにできなかった。墓誌裏面には痕跡はなかった。

 性格は不明で、下書きとみる説や後から墓誌に別の意味を与えようとしたとする説などさまざまな見解が出されている。

 和田萃・京都教育大学名誉教授は「初めての事例で大きな発見。どう意義づけるかは難しいが、他の墓誌や墓出土の鉄板にも墨書されている可能性があり再調査のきっかけになる」と話す。墓誌は国内では7世紀後半から8世紀末頃まで副葬され、16例が現存する。

 太安万侶墓誌は、同研究所付属博物館で6日から始まる秋季特別展「『日本国』の誕生」で展示される。

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