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経済

税金など「滞納倒産」が急増 無駄な経費削減を - 奈良経済をつかむ(22)

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 社会保険料や税金の「滞納倒産」が急増している。消費税や固定資産税、厚生年金保険などの「公租公課」を滞納して当局に資産などを差し押さえられ経営に行き詰った企業の倒産が2023年度で138件発生したことが分かった。22年度の97件から1.4倍増加した。

 

 コロナ禍では納付猶予措置が設けられて中小企業の資金繰りを支えてきた。しかし、社会経済活動が正常化し特例措置も順次縮小する中で、業績改善が進んでいない企業は社会保険料などを納付できずに倒産するケースが増加している。

 

 韓国食材スーパー経営の株式会社永山(東京都台東区)は、コロナ禍で社会保険料の猶予措置を受けていたが、支払いが順次再開してからは滞納額が7億円に上るなど支払い負担が重く、当局による差し押さえ予告通知を受けて23年10月に事業継続を断念した。

 

 県内でもここ1年の間に資金繰りが厳しく固定資産税を滞納し市町村から本店不動産を差し押さえられた企業が存在する。また、滞納している企業が有する売掛債権を当局に差し押さえられたケースもある。この場合、風評による信用失墜で顧客との取引が継続できなくなるなどの影響が出る。

 

 大手を中心に業績拡大が顕著となっているが、円安や原材料高によるコスト増を価格転嫁できず収益面で苦戦を強いられている中小企業は多い。資金繰りが厳しい状況下でも従業員給料、仕入先・協力会社などへの支払いは事業を継続していく上では最優先で取り組むべきであり、「公租公課」も優先して納付すべきものである。まずは代表者の報酬カットや無駄な経費削減による資金捻出である。

 

 自助努力で経営改善が進まない場合は、取引金融機関や各都道府県に設置されている中小業企業活性化協議会に相談し、専門家による適切なアドバイスを受けながら、借入金のリスケジュールなどの金融支援を受けて課題解決を推進していくことが望ましい。(帝国データバンク調査課 碓井 健史)

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