歴史文化
新・大和の神々/11 あからがしら(天理市荒蒔町) - 昔話の「獣」にお供え
天理市荒蒔町の勝手神社で12月3日、聞き慣れない珍しい名前の祭典が営まれた。その名も「あからがしら」。由来が謎に包まれた市内の昔話にまつわる祭りだ。
言い伝えによると、ある年の旧暦11月1日(12月1日)、同市岩屋町の山奥から「あから」という獣が現れた。あからは石上の川を下り、大和郡山市額田部までの川筋の野のものを食べ尽くした。恐れた地域の人々は暴れないようあからの頭を作り、お供えをして祭るようになった―。
荒蒔町にはその行事が今に残る。現在、祭りの日は人の集まりやすい日曜。神社で祭典が始まると村神主がお払いして場と参拝者を清め、割拝殿内を左から右へ手渡しして神前に神饌(しんせん)を供えた。