
旧奈良食品工学研究所(奈良市)
息吹き返した大正遺産
▲重油ボイラーや加熱殺菌用窯などがそのまま残る工場内部
戦前、戦後に「フトルミン」の名で乳酸菌飲料を製造していた奈良食品研究所は、東大寺二月堂裏参道沿いにある。大仏殿が見渡せる池の脇にある木造の工場群。喜多芳次郎さんが興した「長寿会細菌研究所」の社屋として大正14年に完成した。同時期に立てられた擬洋風住宅「喜多家住宅」は登録文化財に指定され、この工場群も文化財登録に向け動き出そうとしている。
「腸内環境を良くすることが健康長寿につながる」との信念で創業。健康飲料のフトルミンを各地に出荷していた。工場ではイースト菌やシイタケ菌、バターのほか、一時期パンも製造していた。昭和20年に法人化とともに社名を「奈良食品工学研究所」に改名。昭和55年に休業しすべての製造が止まった。

▲数十年間手付かず
置かれたままの実験器具も |

▲きれいな状態で静かに眠る蒸気エンジン
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4棟の工場は宮大工の大木吉太郎さんによるもので、設計は喜多さん本人。大木さんは日本聖公会奈良基督教会(奈良市登大路町)を手がけたことで知られている。東西方向に3棟と南北に1棟の建物があり、いずれも大正時代の面影を色濃く残すが、3代目となる喜多和夫さんが昨年、ひどい雨漏りをしていた屋根と腐っていた柱を中心に大規模な改修を行い再び工場が生き返った。
コの字型に並ぶ建物のうち、中央付近の作業室には加熱殺菌などに用いる大きな窯が並び、その東の建物にはパン焼きに使ったレンガの窯も。事務室東側の物置の1階には動力源となったと思われる蒸気エンジンも残る。
天井には動力用の平ベルトと組み合わされる円筒形のプリーや軸があちこちに配され、さながら産業革命時の工場のよう。白い碍子(がいし)と配線など何十年も時が止まったような工場跡だ。

▲板壁や木枠の窓など古き良き時代を伝える工場跡 |

▲動力を伝えたプリーも
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だが、西側にある元研究室は「工場跡研究室ギャラリー」として、元事務室は「工場跡事務室」として喫茶室に生まれ変わった。数十年の時を経て、再び工場の止まった時間が動き始めた。
天井には動力用の平ベルトと組み合わされる円筒形のプリーや軸があちこちに配され、さながら産業革命時の工場のよう。白い碍子(がいし)と配線など何十年も時が止まったような工場跡だ。
だが、西側にある元研究室は「工場跡研究室ギャラリー」として、元事務室は「工場跡事務室」として喫茶室に生まれ変わった。数十年の時を経て、再び工場の止まった時間が動き始めた。
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DATA
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旧奈良食品工学研究所(奈良市)
奈良市芝辻町543
現在は喫茶室「工場跡事務所」として週末の金・土・日と祝日のみオープン。ギャラリーは現在準備中。工場内の見学はできないが、有料の見学ツアーを春以降に企画中。
問い合わせは同店0742(22)2215 |
写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)
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