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やまと建築詩

黒滝村旧役場庁舎(黒滝村)

県指定文化財

 昭和54年に県指定文化財となった。斬新な明治洋風建造物が吉野の山村に建設されたことの意義が大きく当初の形式がよく保存された貴重な遺構という。

講堂

▲大雪に覆われた黒滝村旧役場庁舎。山の風景に薄緑の洋館が映える

 建物は同村中戸に明治43年、吉野材木黒滝郷同業組合事務所として建てられた。大正2年に黒滝村に移管、昭和53年まで役場庁舎として利用されてきた。現在地への移築は平成7年。

 この建物が元々あった黒滝村中戸小字川戸は、寺戸から赤滝に通じる道と、小南峠を経て天川村洞川に出る大峯山上参り道の交点で黒滝川と川谷川の合流点でもある。当時、北に大きく蛇行して流れる黒滝川の西角に建っていた。

 明治22年に町村制施行により、当時の黒滝郷は近隣の丹生郷六カ村と合併し南芳野村となるが、諸般の事情で村は分村、明治45年に黒滝村となる。役場は当初、小学校の校舎の一部を借りたが、翌大正2年にこの材木組合事務所を借りて役場庁舎として開庁、以後60年余りの歴史を刻んだ。

 現在の旧役場庁舎は、同村粟飯谷の黒滝・森物語村にある。地形の関係で正面だった旧南面が西面となっている。元は川沿いの細長い土地に建っていただけに、洋館の本館と和風の付属屋が一列に並んでいる。2階建ての本館は基本が長方形の一部屋で、角部分に玄関と階段室になる部分が付き建物を特徴付けている。本館に隣接する平屋の付属屋には和室が2部屋あり、現在は建設時のように復元されている。役場時代に増築された部分は県指定文化財となった後、昭和55年から同56年にかけて行われた修理の際撤去された。

 現在、2階が吉野林業に関する資料を集めた「村民俗資料館」として活用されている。移築に際して念入りに修理もされたため建築後95年になるとは思えないほど。建築当時、大工の日給が70銭の時代。総工費8,000円で建てられたモダン建築物は、これからも村の誇り、村のシンボルとなることだろう。

▲着色された天井には装飾も残る

▲民俗資料館のある2階へ登る
表階段から玄関をながめる

▲和風の付属屋には和室が2部屋あり床の間も


写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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