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やまと建築詩

旧八重川家住宅(大和郡山市) ◎県指定文化財

懐かしさ感じる温もり

 都祁村針で代々農業を営んできたと伝えられる八重川家。資料などに欠くが建物の形式手法上から江戸末期、19世紀初期の建築と推定されている。この建物は県内の住宅史を知るうえで標準的間取りを示し、軸部や架構法も都祁地方の特色を示すなど資料的価値が高く、今年3月31日に県指定文化財となった。

▲時折火が入れられるかまど。
土間にはまきが燃えるにおいと火の温もりに包まれる

 八重川家住宅の移築前の外観は寄棟(よせむね)で、棟通りに瓦を葺(ふ)き、屋根は茅(かや)葺きで軒先まで葺きおろしの素朴な外観だったという。間取りは正面に向かって左半分が居室。右半分が土間だった。居室は三室で、表側に縁(えん)が付く「ざしき」、裏の土間側が「なかま」、妻側に張り出した「なんど」があった。また、土間には「はたべや」や「釜屋(かまや)」が設けられていた。

 移築解体時の調査により居室は当初、二室だったことが判明。復元に際しては各部材の痕跡などにより建築当初の間取りや外観に復元された。

 正面から土間に入る。右手は移築前に「はたべや」だった場所で、もとの「まや」(牛小屋)に戻されている。左手は居室でトコ(床)と押し入れのある「ざしき」。裏は一部屋に戻された「なかのま」で2カ所に障子が設けられている。土間は住宅のほぼ半分を占めるほど広い。この右手奥に「かまど」が設置されている。

 約26.6ヘクタールの広さを持つ大和民俗公園にある古民家9軒は、毎日、交代でいずれかの民家のかまどに火が入る。この日は旧八重川家のかまどに火が入れられ、大きな釜から白い湯気が噴きだしていた。茅葺き屋根を長持ちさせるために行われているのだが、火の温もりと煙のにおいに、懐かしさを感じさせるとともに生活感を実感した。


▲開いた障子からは、 軒先まで葺きおろされた
茅葺き屋根が見える

▲押入れとトコ(床)が設けられた8畳の「ざしき」

▲素朴な外観を見せる旧八重川家


DATA

● 旧八重川家住宅 ●

大和郡山市矢田町545(県立大和民俗公園内)

民家は入館無料で見学時間は午前9時から午後4時まで。
休館日は毎週月曜日と年末年始など。

民家内での写真撮影は事前に民俗博物館窓口で手続きを。

【問い合わせ】
民俗博物館、電話:0743(53)3171へ

情報が古くなっている場合がございますので、ご利用の際は必ず事前にお問い合わせください。

写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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