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万葉車窓

法隆寺-大和小泉(JR関西線)

池中央に昔の軌道と橋台


 『 斑鳩(いかるが)の 因可(よるか)の池の よろしくも 君を言はねば 思ひそわがする 』

 この歌は、物事にこと寄せて感慨を述べたもの。「因可の池」は、この歌からすると斑鳩町付近にあったらしいが、その所在は不明とされている。「斑鳩の因可の池の」は、「よろしくも」を起こす序詞とか。

 「因可の池」はどこにあるのだろう。斑鳩町や周辺の安堵町、大和郡山市などには、ため池を含めて池がたくさんあることで知られている。関西線の車窓からは、それら池のいくつかを見ることができる。

 安堵町の木戸池は、車窓から見える池の中でもひときわ大きい。池の真ん中にある土手は、大正4年2月7日、新法隆寺から天理まで約9キロ間が開業した旧天理軽便鉄道の軌道跡だ。軌道幅は760ミリと現在の近鉄奈良線などの線路幅の約半分と小さなものだった。

 大正10年に近鉄の前身の大軌に事業譲渡。平端から天理間は改軌・電化し電車が走るようになった。しかし、新法隆寺から平端間の4.1キロはそのまま残り、蒸気機関車が小さなガソリンカーに置き換えられたのは昭和3年だった。だが、この路線も戦争の影響で昭和20年にレール撤去。同27年に廃止となった。

 木戸池は平成13年に大規模な改修工事が行われたが、住民の要望もあり、線路跡は元のように復元された。線路跡中央にはレンガ積みの橋台も残り当時をしのばせる。


●参考図書=米田勝著「万葉を行く」(奈良新聞社刊)、和田嘉寿男著「大和の万葉歌」(奈良新聞出版センター刊)


写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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