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万葉の景色

朗報待つ吉野

四季折々美しい山河

▲雨に映えるアジサイを愛でる散策は桜の季節とひと味違う静寂の世界に。
万葉の時代、大伴家持ら2人がアジサイを題材に歌を残している。
当時はガクアジサイが主流だったとか。写真のような花だろうか(吉野町吉野山)

 万葉人が愛(め)でた美しき山河、吉野。ここを舞台にした歌は約90首。天武天皇はじめ宮廷歌人として数多くの歌を残した柿本人麻呂、さらに大伴旅人、山部赤人らそうそうたるメンバーが名を連ねる。その吉野があす28日から中国・蘇州で始まるユネスコの第28回世界遺産委員会で「世界遺産」に登録される見込みだ。

 1300年の歴史を誇る修験道の聖地・吉野。「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として、地元をはじめ多くの県民が登録に期待を寄せている。吉野から熊野を目指す修行の道「大峯奥駈(おくがけ)道」は何日もかけて紀伊半島の中心部を背骨のように貫く険しい山々を越え、ひたすら歩く。修験道の総本山、金峯山寺(吉野町吉野山)でも多彩な祝賀行事が予定されている。

 地元の吉野町や吉野山観光協会もさまざまな催しを企画。すでに「日本の心・吉野祭り」と題した登録推進イベントの一つとして、きょう27日まで「あじさいまつり」を開催。近鉄吉野駅から門前の通りに至る「七曲がり」と呼ばれる急な坂道に2000株のアジサイが植えられ、色あでやかな花が美を競う。

 吉野を題材にした歌の一部を紹介する

『 よき人の よしとよく見て よしと言ひし 吉野よく見よ よき人よく見 』
  天武天皇(巻1-27)


『 見れど飽きぬ 吉野の川の 常滑の 絶ゆることなく また還り見む 』
  柿本人麻呂(巻1-37)


『 昔見し 象の小川を 今見れば いよよ清けく なりにけるかも 』
  大伴旅人(巻3-316)


『 み吉野の 象山の際の 木末には ここだも騒ぐ 鳥の声かも 』
  山部赤人(巻6-924)


 金峯山寺蔵王堂を中心に、春は日本一の桜の名所として県内はもとより全国から花見客が押し寄せる吉野山だが、深緑映える夏、紅葉の秋、さらに冬の雪景色も趣があり、四季折々の顔が…。平成の世に生きる現代人もこの地を愛してやまない。


吉野山

▲つややかな緑が美しい吉野山。世界遺産登録が待ち望まれる
(大峰奥駈道から金峯山寺蔵王堂(中央奥)方面を望む)


写真と文 牡丹 賢治

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