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万葉車窓

月ヶ瀬口-島ヶ原(JR関西本線)

ススキを抜ける一陣の風

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 『 道の辺の 尾花(をばな)がしたの 思ひ草 今さらになど 物か思はむ 』

 ススキはイネ科の多年草。カヤ(萱)ともいわれ屋根を葺(ふ)く材料にも使われてきた。万葉の時代から親しまれ、群生して咲く姿が晩秋に見られる。この歌は思ひ草(ナンバンギセル)を詠んだ歌で「道ばたのススキの根元に咲くナンバンギセルが何か思っているように、今さら恋の思いに苦しむのでしょうか」との意味をもつ。

 大阪・JR難波と名古屋を結ぶ関西本線。月ケ瀬村の表玄関の一つ、月ケ瀬口駅から東に進むとススキが群生する場所がある。ここは例年、白く輝くススキが線路の両側を覆い尽くしているが、今年は少ない。それでも、周囲は晩秋の景色らしく紅葉なども見受けられる。

 この場所で待つこと約1時間。夕暮れのなか、二条に光るレールの上をディーゼルカーがやってきた。列車の巻き起こす風にススキは揺れ、一陣の風とともに列車は去っていった。列車の通過を待つようにわずかに残る夕日も沈みゆっくりと夕闇が迫った。

 『 人皆(みな)は 萩を秋と言ふ よし我は 尾花(をばな)が末(うれ)を 秋とは言はむ 』


写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)

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