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万葉の景色

蜻蛉の滝

緑貫く勇壮な水の道

蜻蛉の滝

▲青根が峰からの清らかな流れが落差約50メートル、
滝口から一気に滝壷に流れ落ちる勇壮な「蜻蛉の滝」。
新緑に覆われた滝周辺を瀑音がこだます(川上村西河)

 吉野山・奥千本から蜻蛉(せいれい)の滝(川上村西河)に至る山越えの道は、松尾芭蕉や本居宣長らの著名人も多く訪れた「歴史の道」。うっそうと茂る木々に囲まれた芭蕉や西行法師ゆかりの西行庵の東、吉野の山々の最高峰・青根が峰(標高858メートル)を境に山上ケ岳へ続く行者道と分かれ、音無川沿いに歩く。

 木立の中、水音がだんだんと大きくなる。蜻蛉の滝だ。21代雄略天皇行幸の際、狩人に命じ獣を駆り、自ら射ようとした時、突然大きな虻(あぶ)が飛んできて天皇のひじに食いついた、という。ところがどこからともなく蜻蛉(とんぼ)が現れ、虻を退治。天皇は喜び、この地を蜻蛉野(あきつの)とした。

 滝口から激流が一気に流れ、滝壷へと落ちる。落差約50メートル、吸い込まれそうだ。万葉集には次のような記載がある。

 『 石走(いわばし)る 垂水の上の さわらびの 萌え出づる春に なりにけるかも 』
 志貴皇子(巻8-1418)

 春の雑歌。よろこびの御歌。滝のほとりにあるワラビが、芽ぶく春…。「わが世の春」にたとえたのだろうか。それとも春を迎えたこと自体を喜んだのだろうか。真意はさておき、万物が動き出す春を見事に描写。取材当日は春過ぎ、初夏の装い漂う陽気で水しぶきが肌に心地よかった。滝口から激流が一気に流れ滝壷(つぼ)に落ちるさまを滝の上から撮影後、螺旋(らせん)階段を下り勇壮な滝を目の当たりに。水と空気がきれいだ。

不動堂

▲滝を借景にひっそりとたたずむ不動堂。
不動明王像や蔵王権現像などがまつられている


写真と文 牡丹 賢治

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