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万葉の景色

大坂越え

思い交錯「国境の峠」

▲大坂越え-。道路が整備され、昔の面影はほとんどないが、
眼下に奈良盆地が広がる (当麻町竹内)

 大和と難波を隔てる金剛・葛城の山々。その北端にそびえる二上山は雄岳と雌岳、二つの頂を持つ秀峰。古くは「ふたがみやま」と呼ばれた。飛鳥の地からもその姿が望め、崇(あがめ)られた。時を超えた今なお、山の向こうに沈む夕日は美しく、神秘的だ。

 二上山の北側の峠を越える道が穴虫越え、南側の峠を越えるコースが竹内越えで、後者は日本最古の官道といわれる「竹内街道」の一部。奈良盆地を東西に貫く横大路につながり、三輪山のふもと、海石榴市(つばいち)で「山の辺の道」などと交わる古代の大動脈だ。


 『 大坂を わが越え来れば 二上に もみじ葉流る 時雨降るつつ 』
作者不詳(巻10-2185)


 作者がどちらの道を選択したかは定かではない。が、「やっと峠を越えてきたのに、二上山は時雨が降りしきり、せっかく色づいた木の葉が散ってしまう」と気遣う。古代の峠は、今からは想像できないほど険しいものだったに違いない。また、国境でもあり、感動もひとしお。さまざまな思いが交錯した。

 現在、竹内街道はバイパスができ、車だとあっという間に峠を越えてしまう。交通量も多く、風情を楽しむ、といった余裕もないが、眼下に奈良盆地が広がる。車を路肩に止め、目を凝らすと飛鳥の里も視野に入る。“あこがれの都”古代の人の気持ちが少し分かったような気がした。

 奈良側をさらに下ればボタンで名高い当麻寺、大阪方面には推古天皇陵などがある。竹内の集落を通る旧道は、大和棟の民家が残り、興味深い。車に注意し歩きたい。


▲緑に覆われた峠(大阪府太子町)


写真と文 牡丹 賢治

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