高見山越え
美景の山を彩る冬装束
▲雪雲に覆われた高見山。西日が一瞬差し込み、頂上付近を照らす。
ほんのつかの間の出来事で、またたく間に色を失った
梅の便りが各地から届き、冬と春がせめぎ合う季節がやって来た。
が、標高1249メートルの高見山(東吉野村)は、まだまだ冬のたたずまい。"関西のマッターホルン"と呼ばれ、美しい三角形をした姿が自慢。三重との県境にそびえ、薄っすら雪が積もる山頂からの眺めは360度、視界を遮るものがない。
『 吾妹子を いざ見の山を 高みかも 大和の見えぬ 国遠みかも 』
石上麻呂(巻1-44)
持統6(692)年、天皇が伊勢に行幸。その折、同行して詠んだ。
いざ見の山が高いからか大和の国が見えない。それとも国が遠いからだろうか…。
「いざ見の山」には諸説あるようだが、大和と伊勢を結ぶ伊勢街道、高見峠の北、高見山が有力とか。
青垣山に囲まれた大和。四方の国々に足を延ばそうと思えば、峠越えは不可欠。伊賀、伊勢に接し、そのはるか先が東国。東の国から召集された防人は、どの峠を越えてきたのだろうか。いずれも、たやすい行程ではない。今から思えば気が遠くなる。
現在、東吉野村から高見峠を越え三重県に至るルート(国道166号)は、県境を全長2470メートルの高見トンネルが一気に貫く。路肩には雪が…。
ちなみに県関係では阪奈トンネル(生駒市−大阪府東大阪市)、新川合トンネル(西吉野村−天川村)に次ぐ規模。
高見山が真正面に見える木津峠はもっと手前。こちらもトンネルがあり、旧道からの眺めの方がきれいだ。便利な半面、風情が今ひとつ…。 霧氷がきれいな冬山シーズンも残りわずか、来季は頂上を目指そう。
▲高見山を仰ぐ国道沿いには万葉歌碑があり、
ナンネンが彩りを添える
▲三重との県境を一気に貫く高見トンネル。
取材当日は路肩に雪が残っていた
写真と文 牡丹 賢治
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