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万葉車窓

奈良-西大寺(近鉄奈良線)

夕闇に溶けゆく「夢の跡」

 奈良・大和路には「万葉集」に詠まれた地が数多い。その多くの場所は、少なからず当時の面影を今に残している。これら古(いにしえ)の風情が奈良・大和路に人々を引き付けるひとつの理由であろう。通勤や通学の車内から身近に見える万葉の世界を想像していただきたい。

夕闇に溶けゆく「夢の跡」

 『 あをによし 寧楽の都は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり 』

 奈良といえば、この歌が真っ先に思い浮かぶ。華やかであったであろう平城京の様子が花に例えて詠まれた。

 夕暮れの平城宮跡は、復元された朱雀門が美しく照明されるが、辺りは漆黒の闇(やみ)となる。刈り取られた草、水辺には水鳥が時折音を立てる。近鉄電車が光の帯となって通り過ぎていく間だけ現実の世界に戻る。

 『 立ちかはり 古き都と なりぬれば 道の芝草 長く生ひにけり 』

 と旧都の荒廃をいたむ歌が頭をよぎる。いま、遷都1300年を目標に大極殿の復元などが予定される。往時のにぎわいが再現されるだろうか。

写真・文 本紙・藤井博信 (日本写真家協会会員)


 

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