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万葉の景色

山の辺の秋

金色に染まった山里

山の辺の道

▲秋、柿がたわわに実った山の辺の道。 遠目には緑のキャンパスに
オレンジ色のコンペイ糖を散りばめたよう (桜井市箸中)

 大神神社(桜井市)の摂社の一つ、「山の辺の道」沿いにある桧原神社から"大和国原"が一望でき、間近に広がる柿畑は今が盛り。

 たわわに実り、緑のキャンパスにオレンジ色のコンペイ糖を散りばめたよう。その眺めに誘われ、通称・檜原坂を下れば邪馬台国の女王・卑弥呼の墓という説が根強い箸墓。途中、大きなため池(井寺池)があり、池面に映る三輪山が美しい。

 この池を取り囲むように万葉歌碑が3カ所。

 最初に目に入るのが桧原坂の端、周辺の案内板とともにある。池のほぼ真ん中を通る細い道を進むと、柿畑を借景に1つ。さらにその近く、白い花咲く椿の木が植えられた池畔にもたたずむ。


 『 いにしへに ありけむ人も わが如か 三輪の檜原に 挿頭折りけむ 』
柿本人磨歌集(巻7-1118)


 『 香具山は 畝傍雄々しと 耳成と 相あらそひき神代より
斯くにあるらし 古昔も 然にあれこそ うつせみも嬬を あらそふらしき 』

   中大兄皇子(巻1-13)


 『 三諸は 人の守る山 本辺は 馬酔木花咲き 末辺は
椿花咲く うらぐはし 山そ 泣く児守る山 』

作者不詳(巻13-3222)


 桧原神社周辺やこの先、天理市との境界辺りまで多くの歌碑が点在。景観も良く、山の辺散策のハイライトといえそう。

 撮影中、柿の手入れに来た地元のお年寄りと出会った。「ミカンの収穫も始まり、忙しくなったが畑仕事は私たちの代までかなぁ」とポツリ。「手入れしないと景観も損なうんだが…」とも。いただいたミカンの甘酸っぱい味が忘れられない。

 井寺池わきには、もう1つ「古事記」にある倭建命(やまとたける)の歌、大和は国のまほろば…と綴(つづ)った碑も。故・川端康成の書で、この地にも訪れた。

 たもとに広がる緩やかな傾斜地一面の稲は、黄金に頭(こうべ)を垂れ、刈りとりのピーク。晩秋、素麺(そうめん)づくりが始まる。白い素麺のすだれができる"外干し"は冬の風物詩だ。

収穫のシーズン

▲収穫のシーズン。稲穂を垂れた風景に出会うと
心が安らぎ、実りへの喜びが…


井原池

▲秋の日はつるべ落とし、という言葉どおり、
日の入りが早い。井原池が輝くのも一瞬だ


写真と文 牡丹 賢治

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