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万葉の景色

磐姫陵

心休まる水辺の散策

水上池

▲満々と水をたたえキラキラと光る水上池。
樹木の中に静まる陵墓とは対照的に広々とし、解放感いっぱい

 平城京の北に水上池という広大な池がある。そのすぐ北、「奈良・西ノ京・斑鳩自転車道」を隔てて鬱蒼(うっそう)と茂った磐之媛命(いわれのひめみこと)陵がひっそりとたたずむ。仁徳天皇の皇后で、その陵は日本一の仁徳天皇陵に劣らない立派なもの。全長219メートルある陵の前方部、長い堀端に沿いカキツバタが群生。今、紫の花が色鮮やかに咲いている。

 『 かきつばた 開沼の菅を 笠に縫ひ 著む日を待つに 年そ経にける 』
作者不詳(巻11-2818)

 沼は佐紀沢で水上池を指した、といわれ当時から一帯でカキツバタが咲いていたことになる。日が西に沈み始めた。池はキラキラと光りを帯び、やがて辺りは暮れ静まりかえった。幽玄の世界に足を踏み入れた、そんな雰囲気が漂う。さて、万葉集には心離れた天皇を恋い求めた皇后の歌が4首、伝えられている。しかし、磐之媛は天皇のもとに戻らず一生を終えた、という。

 『 君が行き 日長くなるぬ 山尋ね 迎へか行かむ 待ちにか待たむ 』
磐之媛皇后(巻2-85)

 水上池畔、自転車道わきに万葉歌碑がある。一帯はバードウオッチングで訪れる人も多い。時折聞こえる山鳥の声、ゆっくりと羽根を休める水鳥…など市街地に隣接した地とは思えない。万葉歌、のんびり歩きながら味わいたい。

 『 をみなへし 佐紀沢に生ふる 花かつみ かつても知らぬ 恋もするかも 』
中臣女郎(巻4-675)

カキツバタ

▲鬱蒼と茂る磐之媛命陵、堀端を彩るカキツバタ。緑に紫の花が映える
(奈良市佐紀町)


磐之媛命陵

▲水上池畔には万葉歌碑も。すぐ先に磐之媛命陵がひっそりたたずむ


写真と文 牡丹 賢治

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