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金曜時評


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県活性化につなげ - 編集委員 山下 栄二

2018年1月19日 奈良新聞

 一般住宅に旅行者を有料で泊める「民泊」が注目を集めている。6月に全国で「解禁」されるのを前に、県と中核市である奈良市が、それぞれ独自に営業区域や日数などを制限する条例づくりを進めている。民泊推進に積極的な姿勢をみせる県のもくろみ通りに普及が進めば、過疎化、高齢化で沈滞する県活性化のカンフル剤の一つになるのではないかと期待される。

 民泊は、安価で日本の生活が味わえると外国人観光客らに人気だが、現在は簡易宿泊所の許可を得るか、特区に指定された地域で首長の認定を受ける必要がある。国は平成32年の東京五輪開催に向け、より多くの外国人観光客を取り込もうと、6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)を施行、原則として自治体への届け出だけで民泊営業が可能となる。

 奈良市を除く市町村の営業届出を受け付ける県は、できるだけ広く民泊を認める方針だ。全国ワーストクラスである県内宿泊施設の客室数を民泊で補い、長期滞在する外国人観光客の増加につなげたいという。

 対象者と目的はまったく異なるが、奈良で民泊と聞いて思い出されるのが、昭和59年に本県で開催された「わかくさ国体」だろう。宿泊施設不足を補うため、選手らが一般の家庭に民泊。民泊体制と競技の観客数は史上最高で、人情味あふれる、ふれあいの場が広がったと今でも大会についての評価は高い。その宿泊者に対する「おもてなしの心」は、受け継がれているのではないだろうか。

 県には、日本のふるさとともいえる自然環境の豊かさがある。農村体験や長期滞在によって味わえる旅情は、外国人観光客だけでなく日本の都市部に暮らす人たちをも魅了するに違いない。過疎化で悩む山間部にとっても、にぎわいの創出や刺激材料になるだろう。

 少子高齢化が進み、高齢者の就業促進が打ち出されている。会社などをリタイアしても、まだまだ元気な人がほとんどだ。このような人たちが民泊運営に携わることができるのではないだろうか。故郷にUターンし、実家で民泊営業という道もある。

 もちろん、これまで特区で行われていた民泊営業では、騒音など近隣トラブルも発生、治安や住宅環境が悪化する懸念もあり、著名な観光地である奈良市は、県より厳しい規制で臨む方針だ。よりよい「民泊元年」を迎えるため、しっかりした条件整備が必要となってくるだろう。

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