「最近の若い者は」とは言わぬものの、自分の若いころと比べてしまうことがある。もっとも、悪い面ばかりを見てはいない。

　本紙既報の通り、県は本年度、奈良女子大学と帝塚山大学の学生の提案4件を事業化する。若者のみずみずしい発想を県施策に生かす目的で募集していたものだ。

　内容は、体感要素の情報を含む観光マップの作成、県東部・南部地域での学生による学習支援、女子大生向けキャリア形成・県内就職促進、不登校児童生徒の支援。いずれも県と専門性を持つ学生が協働する。

　税金を使うので当然結果は求められる。一方で、事業推進の過程で地力を付けた学生が県への愛着を深め、県内企業就職や、県内での社会活動を考えるといった副次的な収穫にも期待したい。

　社会人経験の浅いころ、提案した企画が「学生の同好会レベル」と上司に一蹴されたことがある。何の説明もされず、次につながるものは残らなかった。

　枠にとらわれない若者の発想に柔軟に対応し、対話のある協働で課題解決を図る。双方に利点のありそうな未来志向の取り組みを注視していきたい。(智)