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金曜時評


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天下り問題に思う - 主筆 甘利 治夫

2017年2月17日 奈良新聞

 「まだまだ若い者には負けない」という高齢者は多いだろう。本格的な高齢社会に突入し、元気な高齢者が街にあふれている。しかし一般人にとって定年後の就職探しは極めて大変なのが現実だ。これまでの経験を生かせた職に就ける人は数少ないし、もちろん収入も激減する。

 定年後に好きな趣味やスポーツなどで悠々自適の生活をしている人は一部に過ぎない。それが現実であり、今という時代だ。

 今度の文部科学省の天下り問題は、組織ぐるみで「うまい汁」を吸おうとした、極めて悪質だ。文科省は、許認可や補助金の交付といった権限を持っており、大学をはじめとした団体に圧力をかけられる立場にあった。そこに退職者を送り込むのだから、受け入れ側は文句を言えない。このような仕組みは文科省だけでなく、他の省庁についてもあるはずだし、徹底的に洗い出すべきだ。最難関の国家試験を突破したエリートたちが、法に触れないような策を編み出しているとしか思えない。

 同じことは、規模こそ違っても地方にもある。毎年、県庁や県警OBなどの退職後の進路を見ると、いかに優遇されているかが分かる。課長級ならどこ、部長級ならどこといった、長年の慣習で順送りになっている。各種団体などのトップやナンバー2の専務理事といったポストに迎えられ、そこそこの報酬が約束される。

 それだけに、昨年3月末で副知事を退任した奥田喜則氏の天下り問題は記憶に新しい。退任前から、県信用保証協会の会長就任を自ら喧伝(けんでん)するという、金融庁の監督指針に反する言動があった。しかも直系の身内が金融機関に勤務という公平性にも疑問の声が上がっていた。同協会の正式な手続きの結果、会長としての理事を推薦する第三者委員会で選考されず、不適格との判断が下された。

 県の言いなりにならず、正常に機能した。しかしながら、県当局は奥田氏を会長に送り込むことを「規定路線」として、強硬な圧力をかけたようだ。他の天下り先に対しても、どんなことになっているのか興味がある。当の奥田氏は、その後、県地域産業振興センターの常勤理事になった。公表された報酬の上限額は年俸450万円、賞与111万円となってる。副知事時代の退職金もあるから、庶民感覚では相当なものといえよう。

 今年は松谷幸和副知事らが退任する予定という。その天下り先に関心を持たざるを得ない。

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