特集2024年春の高校野球奈良大会速報

国原譜

作家の三島由紀夫は、東京の自衛隊駐屯地で…

 作家の三島由紀夫は、東京の自衛隊駐屯地で隊員らを前に演説した後、割腹自決した。昭和45年11月25日だった。衝撃的な事件として記憶に残る。

 この年に3月14日=大阪万博開幕。同31日=日航機「よど号」ハイジャック事件。6月23日=日米安保条約が自動延長などもあったが、真っ先に三島事件が浮かぶ。

 当時、18歳の高校3年生だった。同級の男子生徒に三島作品のファンがいて「一人で“葬儀”を営み、冥福を祈った」と話した。衝撃は強烈で深かった。

 「文化概念としての天皇の復活」(三島由紀夫「文化防衛論」)とは何か。なぜ自衛隊員に向けて演説し、なぜ割腹自決したのか。三島の中で文学と政治はどういう関係だったのか。

 安全保障法制との関連で自衛隊の在り方が変わりそうな中、三島が自衛隊に託した思いや、自衛隊と国民との関係をあらためて考えてみたい。そこから将来が展望できればいい。

 自決から45年。三島の文学や政治や思想はけりがついたのか。まだ謎はいくつもあり、今の若い世代にも参考になりそうなことが、この作家の遺産から発見できると思う。(北)

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