特集奈良の鹿ニュース

金曜時評

試される真の実力 - 論説委員 北岡 和之

 3月26日の知事選挙告示で幕開けした「地方創生」元年の統一地方選挙は、きょう3日の県議選告示で選挙ムードが一気に高まりそうだ。県議選(定数44)は16選挙区に60人以上が立候補するとみられる。少子・高齢化や人口減少問題、政権交代・再交代の過程で起きた新党誕生の動きなど、見どころは多い。

 とりわけ声高に叫ばれる地方創生には、地方がそれぞれの特色を生かし、自らの力で将来を切り開いていかねばならなくなった時代背景がある。

 昨年5月に有識者らでつくる「日本創成会議」の分科会が発表した平成52(2040)年の人口試算データで、県内39市町村のうち26市町村が「消滅可能性」の危機にあるとされた。こうした衝撃的な予測データを待つまでもなく、人口減少社会への対策という課題は、早くから指摘されていた。

 これからが、地方政治のリーダーたちがその真価を発揮すべきときだ。今回の選挙で各候補者の政策や見識、能力などが有権者の目に如実にさらされ、これまで以上に、かつてのような「地盤、看板、かばん」に頼った選挙が通用しにくくなってきていると自覚すべきだ。

 また一方で、県の経済や行政、自治などの全般において、県と各市町村の実態がどのようなものかを正確な切り口で判断する見識を、有権者の方も問われている。ムードや“風”ではなく、単純に年齢の高低で比較するのでもなく、各候補者の公約が耳ざわりの良いスローガンになっていないか、空文句ではないかなど、しっかり見抜きたい。

 地方創生といえば、偶然かもしれないが北陸地方に多くスポットが当たっているように見える。北陸新幹線の長野―金沢間が開通したと思ったら、NHKの新しい「朝ドラ」で石川県の能登が舞台になって展開しているし、センバツ高校野球では敦賀気比ナイン(福井県)が春夏の大会を通じての初優勝を北陸勢にもたらすという快挙を成し遂げた。

 もう20年以上も昔、当時の日本銀行大阪支店長が定例記者会見で「景気も気」と言っていた。要は気持ち、気合、元気だと理解した。北陸地方に、そんな「気」が巡って来ているのかもしれない。

 ならばわが県も、県民こぞっての大いなる「気」を集め、真の実力で難題を一つ一つ克服していきたい。今回の統一地方選が相当重要な意味を持つと感じられるのは、そんな思いが募るからだ。

 

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