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国原譜

「世界の音楽が続くかぎり、幾世代も残るだろう」。…

 「世界の音楽が続くかぎり、幾世代も残るだろう」。ドイツの作曲家シューマンは、ベートーベンの交響曲第5番をそのように評したという。日本では「運命」として知られるこの曲を、ベートーベンは音を失った絶望の中で書いた。

 佐村河内守さんの代表曲だった「交響曲第1番HIROSHIMA」は初演から5年余り。今後、公の場で演奏されることはないだろう。

 多くのファンを裏切った作曲者偽装の問題は、「HIROSHIMA」をメーンプログラムに予定していた「ムジークフェストなら」にも影響を与えた。

 本人の心の闇は深さを測るすべもないが、「HIROSHIMA」が多くの感動を生んだのは間違いない。つまらなく聴こえるようになったなら、演出された「過酷な運命」に心を動かされていたのだろう。

 ベートーベンが第5番に込めたメッセージは「暗黒から光明へ」。この曲を今一番必要としているのは佐村河内さんかもしれない。

 もし作曲の才能があるのなら、次の真作が本当の「運命」になる。今後どのような道を歩むにせよ、第5番は常に傍らにある。(増)

 

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