お隣のことなので黙って見ていればいいのかもしれないが、あまりにも関係が深いお隣だからこそ気になる。大阪市長選の話だ。

　橋下徹市長が市長を辞職して、出直し選挙に挑む。府と市を統合再編する「大阪都構想」の是非を市民に問うという。公約した構想が行き詰まったための奇策だ。

　制度設計を話し合った法定協議会で、特別区に分割する区割り案を一本化したいとする橋下氏の提案が受け入れられなかったために、構想事態が頓挫しかねなくなったからだ。

　来年4月に都制移行の目標だったが、それが難しくなった。「議論が不十分」とする野党らの意見に、反発したものだ。大阪の未来を決める話だから、期限を区切ることに無理がある。

　市民の代弁者である議会を軽視したもので、選挙で市民に直接問うという、もっともらしい論法であるが、いかがなものか。都構想の中味も分からない市民も迷惑だろう。

　都知事選の真っ最中で、そちらの関心が高かっただけに、そうも言っていられない。繰り返される橋下流の選挙に、市民がどのような審判をするかだ。(治)