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国原譜

奈良市の国宝・薬師寺東塔と言えば「凍れ…

 奈良市の国宝・薬師寺東塔と言えば「凍れる音楽」。そう表現したとされる米国の美術史家フェノロサの著書には登場せず、誰が言い出したのか諸説ある。

 日本人には理解しにくい比喩だと思うが、そこから舞い降りた奏楽の飛天が同寺で公開されている。東塔修理のため61年ぶりに降ろされた水煙の透かし彫りで、24人の飛天が衣をひるがえして降臨した。

 相輪の先端部を飾る水煙には、火よけの意味もあるといわれる。東塔は同寺で唯一残った創建時の建物で、先人の遺産を伝えたご利益に感謝したい。

 青銅で造られた水煙を間近に見ると、各所が補修されていることに気付く。戦後間もなく、欠けた部分の継ぎ足しやひび割れの溶接が行われた。

 1300年近く風雨にさらされた水煙を次世代に伝えるため、同寺などは「平成の水煙」に置き換えることも検討するという。

 唐招提寺では有名な天平の鴟尾(しび)が金堂の解体修理に合わせて4年前に世代交代した。1300年近く堂塔を守り続けた主役が次々と引退するのは少しさみしい。屋根を飾った勇姿も忘れないでいたい。(増)

 

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