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金曜時評

なぜ守れぬルール - 主筆 甘利 治夫

 甲子園の熱闘は、初出場の前橋育英(群馬)が初優勝を決め幕を閉じた。球児らの爽やかな戦いぶりが、酷暑の日本列島に感動を与えてくれた。

 そんな若者たちの姿を見るにつけ、奈良市の臨時議会における議長選のお粗末さはどうしたものか。新しい議会になったとは到底思えない。

 先の市議選で、新人と元職を合わせて12人が当選し、3分の1近くが入れ替わったはずなのに、体質はまるで変わっていない。改選後初の議会は、正副議長をはじめ各種委員会の委員構成などを決め、新しい議会がスタートした。2年前の議長選不祥事で何が問われたのか、そしてどう反省したのか、新しい議会に臨んだ議員らがどう変わったかを注目していた。しかしながら、まさに旧態依然たるものだった。

 政党化が進んだとはいえ無所属当選者が多かったので、どのような会派構成になるかをまず注目した。

 公認、推薦で8人を当選させた自民党だが、最終的には一本化されたものの醜態をさらした。旧の対立関係にあった保守系会派の政翔会、政友会のメンバーが自民党の公認、推薦だったこともあり、意見の違いは当初から予想された。十分な話し合いが行われずに、4人会派で届け出をするなど、ドタバタ劇を演じた。選挙前に、当選後に公認、推薦組で「自民党」会派をつくるという約束が果たされないから、支持者からも批判が集まった。支部幹部らの仲介で、何とかまとまったが、それでも、いつどのようになるかは不透明だ。

 政権与党らしく8人の最大会派の面目が保たれた。前議長の土田敏朗氏を議長候補にしたが、党内のまとまりに欠けた。自民、公明、民主の3党により、何とか土田氏が議長に選任されたが、正副議長選の得票が違うこともあり、2年前の議長選の時のように「誰が投票しなかったのか」と疑問を投げかける声があがった。

 議会の顔を選ぶ選挙なのだから、議会改革を進めるなかで、記名投票にすべきではないか。有権者からしても、選んだ人の投票行動を知っておきたい。

 一方、自民党と並んで8人を擁する「奈良未来の会」だが、「奈良維新の会」と名乗らないのも不思議だ。昨年暮れの総選挙時の勢いはないものの、「維新の風」は市議選にも出た。「奈良維新の会」公認で選挙戦を戦い、1万票を超えるトップ当選を果たした新人もおり、上位当選した。

 選挙前には、議長選不祥事の舞台となった「政翔会」から「奈良維新の会」と名称変更したが、無所属で出馬するなど思いはまちまちだった。それでも無所属組を交えて会派を組み、「奈良未来の会」とした。「維新」の名前さえなく、あの「政翔会」が衣替えしただけだ。

 同じことは民主党にもいえる。惨敗したこともあり、無所属議員を加え、5人会派の「改革新政会」とした。ここにも民主党の看板がない。

 「奈良未来の会」も「改革新政会」も、投票した有権者は残念な思いでいる。

 今度の議長選でおかしなことは、議長選汚職の反省から、立候補制にしたのに、そのルールが守られないことだ。立候補もしなかった中西吉日出氏(奈良未来の会)が10票を獲得した。法的に問題がないにせよ、議員自らが決めたルールを、なぜ守れないのか。一番反省すべき会派が旧政翔会の系譜にある「奈良未来の会」だ。猛省すべきだ。

 さらなる議会改革を求めたい。議員の賛否、行動が有権者に分かるように、記名投票を含めた改革を望む。議員は公人であることを忘れてはなるまい。

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