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金曜時評

機逃さず県政推進 - 編集委員 松井 重宏

 県議会の予算審査特別委員会が県の平成25年度一般会計予算案を可決した。同予算額は4551億3900万円で、前年度当初に比べて3・3%の減。ただ県は同時に328億円に上る大型の本年度一般会計補正予算を計上しており、これと合わせた実質では3・7%の増額予算となる。

 前年度を上回れば積極型、逆に下回ったら消極型―と予算の性格を総額だけで単純に色分けしても意味がないが、新年度に臨む県の姿勢は明確にしておく必要がある。安倍政権のもとで国内景気がデフレ脱却に動き始めた今、県の予算は「機を逃さない」という意味で積極型であるべきだ。

 もちろん国も地方も極めて厳しい財政状況から、まだ抜け出せていない。期待先行で多額の支出を続けられたバブル経済の崩壊直後とは体力が違う。よほど慎重に景気対策を進めないと財政破綻に陥る危険もある。それでも慎重さを消極的と取り違え、舵取りを誤れば、地域間競争の時代に取り残される。

 また政権交代や景気回復など、大きな変化が起きており、それらに即応できる安定した態勢づくりも地域発展のかぎを握る。

 円高の是正や株価上昇など、いわゆるアベノミクスの効果をどう読み取るのか。国内の全般的な経済だけでなく、きのう発表された地価公示では県内地価も下げ止まり感が出てきており、景気は身近なところでも新しい局面を迎えつつある。政治的には7月の参院選まで流動的な要素が残るが、その先を展望すれば、大阪都構想の実現を目指す日本維新の会を軸に地方分権、地域再編で新展開も視野に入ってくる。

 そうした中、荒井正吾知事は、国の緊急経済対策を受けた本年度の補正予算編成に当たり「経済体質の強化・改善の動きと同じ流れに乗りたい」と意欲的な姿勢を表明。併せて予算全体については、地域産業の支援や企業の立地促進、観光振興など県内経済の足腰を強める施策に重点を置いたとし、「県内の雇用、消費、投資を活性化させて経済的な自立を図り、暮らしを良くすることを目指す」と足元からの地道な取り組みを強調した。

 2期目の任期で折り返し点を迎える荒井県政。先の県議会予算審査特別委員会では一部委員から予算案に反対意見も出たが、知事与党ともいえる自民党委員らが「国の補正予算を最大限活用した力強い予算」などと支持。県内では、奈良市で議会が財源確保に関する市長の手腕を不安視、委員会で一般会計予算の修正案を可決する事態が発生。生駒市でも似たような動きになっているが、県に関しては知事提出の原案どおり、週明けの25日に本会議で可決、成立する見通しだ。

 荒井知事が掲げる、伝統文化が培った「やまとぢから」を原動力とした地域づくり。県内の市町村をリードするとともに、関西圏でも存在感を示せるよう「慎重で積極的」な行政運営に期待したい。

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