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金曜時評

政治構想力の戦い - 編集委員 北岡 和之

 年が明けて早くも半月がたった。何かにつけて「速さ」が重視される風潮の中で、「逃げる2月」「去る3月」が猛スピードで迫ってくる。奇妙な浮力に支えられて前へ前へと追い立てられる速度感がとても自然なものとは思えない。この速度感から逃げることは許されないにしても、自然なものではないという思いは失わないようにしたい。

 「もっと速く」とせき立てられているのは政党や政治家も同じ。昨年末の衆院選が終わったばかりなのに、各政党・政治家が見据えているのは今夏に行われる次期参院選だ。彼らにすれば、この参院選はすぐ目の前の課題として迫っているに違いない。

 衆院選の結果は、獲得議席数の点では自民党の圧勝だった。しかしその一方で、獲得票数の方に目をやると日本維新の会に目を見張るほどの票が集まった。この両党の結果は、わが県でも同様だった。恐らく、両党には圧倒的な勝利感というものはないだろう。有権者(庶民・大衆)と政党・政治家との間にあるものの正体を見極めようと必死になっているに違いない。この落ち着かない感じが政治家をしきりにせき立てる。

 衆院選で大敗し、政権から転落した民主党はまだ茫然(ぼうぜん)自失といったところか。次期参院選に向けた候補擁立や選挙態勢の整備などが急がれるところだが、具体的なものは全く見えてこない。それどころか、衆院選敗北の総括がきちんとできたのかどうかさえ、耳に届いてこない。なぜ負けたかが把握できずに参院選で戦えるわけがない。

 これまでに断片的に伝わる同党県連関係者の談話などから推測すると、失礼ながら十分な総括はまだなされていないのだろう。政治とは何か、政党とは何か、根本から考え直すべきだと思える。その上でしか同党の政治・政権構想は出てこないだろうし、そうでなければ参院選どころではあるまい。

 有権者にとって、しっかりした政治的な構想を打ち出し、実行していけないような政党など必要ないのである。

 衆院選でにわかに注目された「第三極」については、これからも有権者の支持が得られるのか不透明だ。先の衆院選で県内の4選挙区すべてに日本維新の会が候補を擁立(全て落選)したが、その後この4人がどのような活動を始めたのか伝わってこない。県内で地道な政治活動を再開したという話も聞かない。弁の立つ4人ではあったと思うが、政治を本気でやる気があるのかどうかも分からず、きちんと県民に向けてアピールしていかないと、すぐに見限られてしまうだろう。

 来る参院選の日程は、7月4日公示、同21日投票が有力だという。県都・奈良市では市長選挙と市議会議員選挙(いずれも任期満了は7月30日)も控えており、トリプル選挙となれば大いに盛り上がるだろう。ただし、肝心なのは選挙を通して何が見えてくるかだ。政治の正念場となる戦いに期待したい。

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