先日、明日香村で日韓の伝統芸能に触れ合うイベントが開かれた。いま、日本と中国・韓国は領土問題で政府間は厳しい対立にある。特に中国とは対立が経済、文化などの交流行事の中止に及んでおり、芸能祭の開催はほっとする思いだ。

　明日香村と韓国扶余郡との姉妹都市提携40周年を記念する行事で、古事記や日本書紀の記述にもかかわる「八雲琴」の演奏もあり、感銘深いものだった。

　催しは開催期間がたとえ1日であっても、その準備に多くの手間と時間を要する。今回、大小多くの行事が中止の憂き目となっているが、そのことが将来に何をもたらすか、冷静に考える必要がある。

　声高に相手を非難するよりは、あきらめないで再開に向けて取り組むべき作業もあると思うので、先につないでいくことを考えてほしい。

　心配なのは、日本の映画やアニメーション、音楽文化が中国、韓国の若者たちにも受け入れられながら、若者たちが相手の国に嫌悪感を持ってしまうことだ。

　かつて奈良を訪れた故鄧小平氏らのように、領土の対立を「小異」として処理する知恵はないものだろうか。(水)