逮捕された山本清前奈良市会議長の同志であったはずの議員の面々は、ことごとくダンマリを決め込み“雲隠れ”状態なのは既報の通り。

　仲間に見捨てられ、ひとり司直の縄についた前議長には同情の声さえある。所属の「政翔会」が議長選で擁立した自派候補を当選させようと多数派工作をしていたのは事実。

　無所属議員にコメや現金などを贈ると取引を持ちかけたことも明らかになったが、特捜部の関心は前議長だけの行動だったのかどうかという点だろう。

　すでに数人が引っ張られ、聴取されているのではないかという観測もあり、捜査の行方に目が離せない。居留守をつかう、ノーコメントなどと逃げ回っている議員はまず怪しいと見てよい。

　前議長は昭和58年の初当選以来8期連続当選、議長を3回も務めた重鎮で、先年は園遊会に夫妻ともども招かれた。親しく両陛下を拝した栄誉もこれでパーだ。

　晩節を汚すとはこのことを言うのだろう。何を好んで、自ら泥にまみれる落ち方をしたのだろう。断り切れない相当な力が働いたとしか思えない。隠然たる勢力に空恐ろしくなる。(コ)