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国原譜

わが社の裏手、地面を覆うコンクリートの…

 わが社の裏手、地面を覆うコンクリートの隙間から、意外なほど高く伸びた雑草が一本。冬枯れもせず、今もなお寒風に青い葉を揺らしている。

 いくつかの偶然が成長を支えたのだろうが、厳しい環境に負けず、根を下ろした場所で精いっぱい生きている姿には、思わず声援を送りたくなる。

 東日本を襲った地震と津波、そして紀伊半島南部の豪雨禍など。甚大な被害を受けながら、自分たちの暮らしと地域を再生させようと逆境に立ち向かう人々にも、共通する強さがありそうだ。

 被災者を草木に例えては申し訳ないが、岩手県陸前高田市の浜辺に残った奇跡の一本松に寄せる思いも同じ。郷土への愛着が復興の原動力になる。

 豊かな自然が災害のリスクと隣り合わせにある海岸や山間部。と言っても日本に天災と無縁な場所などないから、均衡のとれた国土づくりが大切。過疎対策も踏まえた復旧、復興を進めたい。

 大規模な災害の発生で地域の大切さをあらためて考えさせられた一年。雑草の強さに学びつつ草木にはない知恵と、人と人の絆を生かして安全な郷土を未来に受け継ごう。(松)

 

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