注目記事山下県政 世論調査の全結果掲載

国原譜

「かつ散れり奈良に南京櫨紅葉」(小林優子)…

 「かつ散れり奈良に南京櫨紅葉」(小林優子)。奈良公園のナンキンハゼの葉が赤く色づいてきた。一日ごとに秋の深まりを感じる季節。

 金子みすゞの詩に「秋のおたより」と題した作品がある。〈山から町へのお便りは、「柿の実、栗の実、熟れ候、ひよどり、鶫(つぐみ)、啼(な)き候、お山はまつりになり候。」〉。

 昔のお便りだから、「候(そうろう)」と気取っている。恵みの季節を迎えて、動物も植物もにぎやかな秋の山々。リズミカルに、言葉をそろえてつづる童謡詩人の面目躍如だ。

 逆に「町から山へのお便り」は、〈燕がみんな、去(い)に候、柳の葉っぱが散り候、さむく、さみしく、なり候。〉と生命の終焉(しゅうえん)を鋭く見つめているようだ。

 今年は震災や豪雨被害で、山も里も塗炭の苦しみに遭っている所が多い。福島第1原発事故による放射性物質の飛散は、農作物はじめ山野、森林にも影響が出ている。

 〈そこで桜がいいました。「私の春は去にました、みんな忘れたそのころに、私の春がまた来ます」〉(「御殿の桜」)。復活への希望を失ってはならない。(コ)

 

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