「十月の大方埋まるカレンダー」(柴田久子)。秋も本番を迎え、好季にスケジュールの立て込んでいる向きも多いことだろう。

　だが行楽の秋にもかかわらず、今回の豪雨被害で県南部の観光地は打撃を受けたところが少なくない。何より道路が寸断され、雨が降れば土砂災害が心配と言われては客足が遠のく。

　そんな折、県は南部の宿泊客誘致を支援しようとプレミアム旅行券を計画した。1万円相当を8000円にして5000枚。11月に売り出すらしい。

　人気の「せんとくん商品券」の旅行版だが、十津川村は対象外。通行止めなど交通規制が続いていることから安全性に配慮したという。

　実際、村観光協会長の田花敏郎さんにお聞きすると、温泉をくみ上げるポンプや配湯パイプが破損して営業休止状態と話していた。復旧には時間がかかりそうだ。

　それでも、田花さんは今年6月に発足した日本源泉かけ流し温泉協会の会長として各地を回る。加盟温泉には被災した福島県の高湯温泉もあり、月末には東京でチャリティー活動をするという。自分よりも公を重んじる十津川魂を見た思いだ。(コ)