特集2024年春の高校野球奈良大会速報

国原譜

「屋上に屋を架すもの」と言えば、先ごろど…

 「屋上に屋を架すもの」と言えば、先ごろどなたかが発した名セリフだが、本来この故事成語は、中国では「屋下に屋を架す」だったそうだ。

 陳舜臣さんの「弥縫録 中国名言集」(中公文庫)によれば、語呂合わせや日本語としての言いやすさから「屋上」に転化したのだという。広辞苑は「屋下」で載せている。

 東晋の二流文人が、南京の都をたたえる文章をつくったが、PR以上に出来が悪く、「此れは是れ屋下に屋を架するのみ」と仲間内から酷評されたらしい。

 要するに無用のことを重ねてすること。制度や政策に、この種の重複が目立つと混乱する。いま緊急を要する震災復旧や被災者支援に議論ばかりが先行し、救援の手が届かないのと同じ。

 行きがけの駄賃のような菅直人首相の内閣改造で、野党議員を引き抜いてポストをあてがうがごとき露骨な人事は、下の下たる「屋上に屋」であろう。

 なお、陳氏は「奈良薬師寺の裳層(もこし)をつけた塔は、見方によれば屋上に屋を架したようなものではないか。それでりっぱに美的な効果をあげている」と、こちらは評価している。(コ)

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