気象庁は来年から、桜の開花予想を取りやめるという。地球温暖化による気候変動で正確な予想が難しくなったからだろうと思ったが、さにあらず。

　最近は民間の業者が、気象庁と肩を並べるほど精度の高い開花予想を行っているため、役所の仕事としてはもう用をなさないということらしい。

　「国としては防災など重点的に行う業務がある。開花予想は民間に」と担当者。はやりの「見直し」を言われる前に、サービス的な仕事は手仕舞いしてしまいたいように見受けた。

　それで地震や台風などの災害に備える業務の精度が上がり、的確で迅速な対応が可能になるのなら言うことはない。だが、何とも世知辛い世の中になったものだ。

　事業仕分けの嵐の中で、紅葉や花見なんぞという悠長なことを言っておられるかい、といった役所の声が聞こえてきそうだ。欲しければ応分の負担をして情報を得てくれということか。

　各地の開花予想日をつないだのが桜前線。早春の寒気の中で「桜前線が北上」という声を聞くと、さあ頑張ろうと元気が出たものだ。また一つ季節の手作り感がなくなる。(コ)