先日、法隆寺の周辺で行われた歴史散歩に参加。全国各地から訪れた人たちと出会い、あらためて奈良の風景が持つ大きな魅力に気付かされた。

　そんなとき聞こえてきた参加者同士の会話。宝くじに当たったら奈良に引っ越すのに―と言う女性が、どこにと聞き返されて「高取町がいいな」。

　なるほど奈良ファンは目の付け所が良い。古代から近世に至る豊かな歴史遺産と緑に恵まれ、最近は住民の活発な町おこしでも注目されている同町。立ち寄るには文句なしの観光スポットだ。

　だが住むとなると薦められない思いも残る。前町長の公金横領事件、そして今また現町長による土地売却問題が発生、高取町政は揺れ続けている。

　町再生へ、厳しい財政の健全化を託された行政のトップが、逆に利権をめぐる違法行為で事情説明もできない疑惑を招いた。これでは地域活性化を目指す住民の努力を踏みにじることになる。

　きのうは桜井茶臼山古墳の現地見学会に全国から約2000人が来場。県内にはまだ多くの魅力が眠っているが、それらを覆い隠すような醜聞も尽きないのは残念でならない。(松)