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政治は関西の季節 - 編集委員 北岡 和之

2009年10月9日 奈良新聞

 政権交代が現実のものとなり、衆院選で大勝した民主党を中心とした連立政権がスタートして1カ月。次々と打ち出される新政策はスピード感にあふれ、自民党とは様子が違うという思いを実感させる。ただ、実際の成果となると、もう少し先にならないと分からないのだが。

政策の柱の一つである税金の無駄遣い排除に取り組む組織として注目されるのが行政刷新会議。「民間議員」に稲盛和夫京セラ名誉会長、茂木友三郎キッコーマン会長、片山義博・前鳥取県知事、政策シンクタンク「構想日本」の加藤秀樹代表、草野忠義・元連合事務局長が就任した。

 そうそうたるメンバーだが、このうち一番気になるのは稲盛氏だ。野党だった時代から民主党支持を鮮明にしてきた「経営の神様」とさえ評される人物だ。同党の小沢一郎幹事長と近いと言われてきたことも、強く意識させるゆえんだ。

 15年ほど昔、関西財界の取材担当記者だったころ、稲盛氏も並ぶ定例会見の席に出ていた。氏は関西経済連合会の副会長の1人で、会長は川上哲郎氏(当時は住友電気工業会長)だった。企業貢献、つまり企業が資金を提供して文化・芸術活動を支援しようという「メセナ」についての論議華やかなりしころのことである。稲盛氏が一生懸命、メセナの意義を説いていたのを印象深く覚えている。

 関経連のどの副会長だったかは忘れたが「企業は食べていくのが先。文化だ、芸術だといっても利益を出せなければどうにもならない」などと、メセナに消極的な姿勢を示し、論議がまとまらなかった。稲盛氏からも、これに対して説得するだけの強力な意見は出なかったように思う。

 稲盛氏に逸話は多いが、かつて京セラグループの売上高が90%落ち込んでも赤字にならなかったという「奇跡」が最たるものだろう。不況に対する対策として氏は全員営業、新製品開発、コスト削減、高生産性の維持、人間関係の構築という五つを挙げたこともあるが、よく氏の特徴が表れている。

 稲盛氏を持ち上げても仕方がないことで、短所もたくさんあるに違いない。ただ、稲盛―小沢―民主党と結ばれる線の背景にあるものが気にかかる。

 ところで、下野した自民党の方もこれからどうしていくのか。新総裁の谷垣禎一氏は京都、総務会長になった田野瀬良太郎氏は奈良と最高幹部に関西の顔が並ぶ。大いに奮起を期待したい。また国土交通省には大臣の前原誠司氏(京都)、副大臣の馬淵澄夫氏(奈良)と辻元清美氏(大阪)という関西勢が民主・社民連合軍が構える。

 強く望むのは、与野党とも相手の減点ばかりを勘定するような“せこい”争いをしてほしくないということだ。そして関西勢が注目されるようになっているからこそ、文化や芸術への見識を示し続けてほしいと願う。平城遷都1300年祭は単なる祭りではない。

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