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悔いのない選択を - 論説委員 小久保 忠弘

2009年7月10日 奈良新聞

 首長の1期4年というのは、長いのか短いのか。地方自治法ができた戦後すぐの時代と現在では、社会や人のサイクルが違う。スピードの時代に、緊張感をもって行政に臨むには2~3年で十分ではないかという意見がある。これは首相が途中で政権を投げ出したり、せっかく県民に選ばれながら任期途中で国政に転じようとする知事が出るなど、政治家の仕事に対する根気のなさを見せつけられると、任期短縮の議論が出るのももっともだと思う。

奈良市の藤原昭市長が、当初は狙っていたであろう再選出馬をあきらめた背景には、駅前ホテルの頓挫という事態があった。そのことについて明快な説明はないが、いまだに「投げ出し」の印象が強い。いずれ真相が語られるときが来るだろうか。

 県都奈良市の市長選・市議選は12日に投票日を迎える。ダブル選挙になったのは4年前、市議会の不信任決議を受けた前市長が議会を解散し、本人も辞職したからで、市長選はその前年9月からわずか10カ月余りしかたっていない。前代未聞の出来事であった。以来4年たって過去の事実は忘れてしまった市民もいるかもしれない。

 いま市長選には3氏が立候補し、それぞれ3党が推薦するという国政と連動した構図で争われている。折しも4年前も郵政民営化法案の参院採決を前に国政が揺れ動いていた。国政と地方政治は別とはいっても、選挙は時代を敏感に反映してきたのも事実。選挙民は総合的に勘案して貴重な一票を行使することになるのだろう。

 告示日に珍妙な光景を見た。

 ある候補の応援演説に立った生駒市の山下真市長は「奈良市の予算に対する借金の割合は2.5倍、生駒市は1.7倍です」と胸を張った。さらに奈良市の遊休土地の多さを語り、旧態依然たる利権政治を語り、「駄目な奈良市を救え」と言わんばかりだった。奈良市の問題は奈良市民である山下市長にとって、日々切実に思い患っている諸問題なのであろう。しかし、自分が担当する生駒市はどうなのか。駅前、病院、学研工区、待機児童―それぞれが到底解決できる状態にない。まことにお気楽市長というほかないが、こんな市長を選んだのは生駒市民である。どこぞの弁護士仲間が呼んできたのだろうが、場違いな青年の主張を見せ付けられた思いだった。

 健全なる地方政治とはいかなるものか。近ごろ「首長連合」で中央の政治に地方の意見を反映させようと、派手に活動している知事らがいる。政権公約評価による政党支持を求めたり道州制移行にまで話が及ぶなど、思惑は一定ではないが、国と地方が隷属の関係にあり、地方の復権を訴えることに異論はない。ただし地方の中にも格差があり、力関係がある。関西圏の中で隷属的な位置にあるわれわれも同じであろう。今度の選挙では地域の平和と繁栄のために力を尽くし、古都にふさわしい清潔で誠実な人を選びたい。

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