コマドリといえば「県の鳥」。1966(昭和41)年に県民の投票で選ばれた。本紙第1社会面の小さなコラムも、その名前をつけさせてもらっている。

　そのコマドリは生息・繁殖環境の消失が進み「希少種」となっている。そうした貴重な生き物の現状を紹介する「大切にしたい奈良県の野生動植物―奈良県版レッドデータブック普及版」が発行された(弊社刊)。

　「同ブック」は2006(平成18)年に「脊椎(せきつい)動物編」=哺(ほ)乳類・鳥類・爬虫(はちゅう)類・両生類・魚類=、2008(同20)年に「植物・昆虫類編」が県から発刊されていた。

　今回、より多くの県民に現況を知ってもらうために150種・群落が採り上げられ、オールカラーでコンパクトにまとめられている。里地里山など3つのコラムも読ませる。

　その一つ「外来種のお話」では、ある池の調査で在来種が全くいなかったことを報告。調和のとれた望ましい自然環境維持のため、ペットや観賞植物を捨てたり逃がしたりしないよう訴えている。

　環境破壊の進行を知るためにも活用してほしい1冊。(恵)