注目記事山下県政 世論調査の全結果掲載

国原譜

寺院や宮殿跡の調査では、多くの瓦が出土…

 寺院や宮殿跡の調査では、多くの瓦が出土する。文様には無数の分類があり、年代などの手掛かりとなってきた。

 国内の瓦研究の基礎を築いた森郁夫さんが亡くなって30日で1カ月。奈良国立文化財研究所(当時)で瓦への興味を深め、京都国立博物館を経て帝塚山大学付属博物館を立ち上げた。

 取材の折、「がれきのように見える瓦も我われにはダイヤモンド。その向こうに何があるのか知りたい」と話されたことがある。形式論にとらわれず、背景にある古代寺院の姿を見つめていた。

 研究者魂に触れたのは両袖を広げたような瓦が奈良市内で出土したおととしのこと。県内で確認されたのは初めてだが、山口県岩国市の武家屋敷に使われているという。

 情報を聞いた森さんは、早朝の新幹線で岩国市に出向き、その日のうちに帰ってきた。たくさんの両袖瓦が写真に収められていた。

 タクシーをチャーターし、駆けるように武家屋敷を回ったという。「ちょっと見てきてやろうと思ってね」。情熱は若い研究者に受け継がれ、瓦が秘める歴史を確実に解き明かしていくだろう。(増)

 

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