エースとはトランプで「1」のことだが、第一流、第1人者を指す。野球チームでは主戦投手。最近は「エース級種牛」という言葉もあった。

　第94代内閣総理大臣に選ばれた菅直人氏も民主党のエースの1人だろう。大学時代は政治サークルに打ち込み、卒業後は市川房枝氏の選挙を手伝ったというから運動歴は長い。

　弁舌の鋭さは定評のあるところだ。いつぞや宇陀郡内で、衆院選の応援で来県した菅氏を取材した女性記者が「しびれました」と言っていたのを思い出す。

　かつての若き日、市民運動家は首相になるとは夢にも思わなかったに違いない。それが政治家として一歩一歩実績を重ねると、総理の座が視野に入ってくるのだろう。

　何回も書きたくないが「権力は三日で腐る」という。初心はいつしか変質し、暴走するか自己保身に陥ってしまった例は、古今東西枚挙にいとまがない。

　そのイスに就いたときから孤独なトップの日々が始まる。そんな覚悟はとうにできているのだろうが、あとがない民主党にとってスペードのエースになるか、ハートのエースになるか。お手並み拝見。(コ)