平城遷都1300年祭のメーン会場「平城宮跡」がオープンした。早々に全国から人々が訪れ、第一次大極殿の威容に感嘆の声を上げた。

　本格的な国家としてのかたちが整った時期を定めるのは難しいのかもしれないが、平城京の遷都はやはり大きな区切りになったに違いない。あらためて1300年前を思う。

　それにしても、奈良県民は幸せだ。この年1年では国内で唯一と言っていい華やかなイベントに立ち会える。「はじまりの奈良、めぐる感動」をしっかり見届けたい。

　会場で繰り広げられるイベントを楽しむことはもちろんだが、一方でこのイベントの意義を考えよう。そして何を未来へと伝えていくのかを考えよう。

　そんな思いから、唐突ながら日本書紀や古事記、万葉集に目を通している。私的でささやかな、自分だけの「はじまりの奈良」をという気持ちが動いたから、と言うしかない。

　1300年前も社会の激動はあった。政治の世界も相当厳しかったと想像できる。参院選を夏に控えて現代の政党はどこも右往左往しているが、万葉の時代から学ぶことも多いのでは。(北)