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逢香の華やぐ大和 なら歴史芸術文化村(奈良県天理市)

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仏像修理なども見学

県の食や文化に触れる

 書家の逢香さんが県内の名所を訪ね、四季折々の魅力を発見する「逢香の華やぐ大和」。今回は天理市の「なら歴史芸術文化村」を訪れました。(川田悠紀雄)

 

交流にぎわい棟

 歴史、芸術、食と農など、県が誇る文化を体験できる人気の複合施設「なら歴史芸術文化村」。最初に訪れたのは、新鮮な野菜や果物、県の名品、名産が並ぶ交流にぎわい棟。

 

 通常の道の駅ではなかなかお目にかかれないほどの商品の種類と多さに、「すごい品ぞろえ」と自然とテンションが上がる逢香さん。 

 

県の名産品が並ぶ交流にぎわい棟

 

 奈良県は近畿有数のイチゴの産地として知られ、その中でも県内一の耕作面積を誇るのが天理市だ。県ブランドの「アスカルビー」や「古都華」などのイチゴが並び、開店早々から多くの来店者でにぎわう。新鮮で色鮮やかなイチゴを見た逢香さんは「みずみずしくておいしそう」とうっとりした表情に。

 

 県名産の吉野杉を使った木工品コーナーでは「おしゃれ~」と思わず声を上げ、興味津々で販売員さんにお薦めや人気商品について質問した。

 

文化財修復・展示棟

 次に訪れたのは文化財修復・展示棟。ここでは伊藤文彦副村長がナビゲーターとなり、作業工程やマル秘エピソードなどを解説しながら施設を案内、逢香さんは歴史的建造物や仏像、彫刻、絵画・書跡などの修復・修理を見学した。作業する技師さんの手元を窓ガラス越しに見つめた逢香さんは「間近で匠の技術を見られる貴重な経験」と身を乗り出した。

 

文化財修復棟で伊藤副村長の解説を聞く逢香さん

 

 その後は地下1階の展示室で特集展示「當麻寺の仁王さん」を観覧。修理工房では日本ミツバチの影響で傷んでしまった金剛力士像の修復作業が2022年から行われている。同展はそのうちの一体、阿行像の修理完成を記念して企画された。5月12日までの開催期間中、講演会や有識者のトークイベントなども楽しめる。

 

 逢香さんは同寺や仁王門の歴史に触れながら、修理でよみがえった阿行像の迫力ある姿を堪能した。

 

修理が完成した迫力ある阿行像を前に

 

幾坂池の桜

 文化村のすぐそばに幾坂池があり、土手に植えられたソメイヨシノはいつしかその力強く凛(りん)とした姿が話題を呼び、「幾坂池の一本桜」として親しまれるようになった。

 

幾坂池の一本桜を愛でる

 

 穏やかな日差しの下、遊歩道を散策しながら桜を愛でていると、ふんわりと花の香り誘われてミツバチも集まってくる。

 

 「華やぐわ~」と満開の桜の下で笑顔の逢香さん。「食や文化だけでなく、自然の中で一日中楽しめますね」と話した。

 

春のうららかな日差しの中で遊歩道を散策

 

ワークショップで勾玉づくり!

 午後からは文化財修復・展示棟に戻ってワークショップに参加した。同施設では子どもから大人まで楽しめるさまざまなワークショップが開かれており、逢香さんは勾玉(まがたま)作りに挑戦。

 

ワークショップでは勾玉づくりに挑戦

 

 好きな粘土の色を初めに何種類か選び、手のひらで粘土を丸めながらよくこねる。そのあと細長く伸ばし、ねじり合わせながら勾玉の形にしていく。

 

 逢香さんは「思った形にするのがなかなか難しい」と悪戦苦闘しながらも、ものづくりに対する眼差しは真剣そのもの。さすがの集中力を発揮して形を整えていった。

 

 仕上げにオーブントースターで焼き上げ、逢香さんは「色合いは思った通りのものができました」と満足の様子だった。

 

逢香の目

 一日を通して見て、触れて、体験したさまざまな思いを逢香さんは書に込めた。印象に残った場面や言葉を少しずつ振り返りながら、作品を仕上げる。今回の書は「古を守る想いはここにあり」。逢香さんは「新しいものを作るのではなく、受け継がれてきた古き良きものを甦らせる」と創作の意図を語り、修復作業に携わる技師さんをはじめ、関係者の真っすぐな思いも作品に込めた。

 

落款を押すといよいよ作品が完成

 

一本桜を背に作品を披露

 

メモ

◆なら歴史芸術文化村
 2022年3月オープン。文化財修復・展示棟▽芸術文化体験棟▽交流にぎわい棟▽情報発信棟―で構成され、海外から招いたアーティストとの交流や子ども対象のアートプログラムも開かれている。

 

 天理市杣之内町437の3。月曜休館(月曜が休日の場合は翌平日休館=ショップ、レストランは営業)。電話0743(86)4420。

 

◆書家/逢香(おうか)

 奈良市在住。6歳から書道を学び、奈良教育大学伝統文化教育専攻書道教育専修在学中、個性豊かな妖怪に興味を持ち「妖怪書家」としても活動する。2020年、橿原神宮御鎮座130年記念大祭の題字や、元興寺(奈良市、世界遺産)の絵馬の書・画・印デザインを手掛けた。奈良市観光大使。

 

 

 

 「逢香の華やぐ大和」は奈良新聞社とNHK奈良放送局のコラボ企画で毎月1回掲載。NHK「ならナビ」(午後6時30分~)内で4月9日に放送されます。

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