「典雅優麗」きわめる日本最古の石造仏 - 石位寺・大和古社寺巡礼016
石位寺
※社寺名は、基本的に現在使われている名称によりました。
※( )内は、神社は『延喜式』神名帳による表記、寺院は史料にみえる表記です。
※記事中の写真の無断転載を禁止します。
創建に関してはさまざまな説がありますが、現在の本尊は日本最古の石像三尊仏(白鳳時代/伝・薬師三尊)として知られ、地域の人々が大切に守る心温まる寺院です。
エリア/桜井市
ご本尊/薬師三尊(白鳳時代・重要文化財)
ご霊験(ご利益)/諸願成就
宗 派/なし
ご由緒
奈良県桜井市忍阪(おっさか)に残る古文書(元禄2〈1689〉年の薬師堂建立次第)に、旧薬師堂には飛鳥時代の瓦が半分ほど残っていたという記載があるものの、石位寺の創建はつまびらかではありません。
現在の本堂は昭和53(1978)年に建てられたものですが、それまであった寄せ棟造りの薬師堂(旧本堂)は、元禄2年に奈良奉行・大岡忠高(講談などで名奉行として知られる大岡越前守忠相の父)の力添えで建てられたものでした。
石位寺の本尊は白鳳時代の「伝・薬師三尊石仏」(重要文化財)で、わが国最古の石彫仏として知られています。美術史家の西村貞は『奈良の石仏』(昭和18年)で「わが国に於ける最も古い仏像の様式を伝え、しかも一般に推古時代の諸像にみとめられる古代風の特色がここでは全く認められないほどに典雅優麗をきわめているという点で、この石像は至貴至重のものと云っていい」と記しています。
この石仏は、もともと額田王の念持仏で粟原寺にあったとする伝承もあります。
現在は住職のいない無住寺ですが、地元・忍阪区の人々が大切に守っています。
拓本からは天蓋の形や三尊の衣の美しい線など、彫像技術の高さがよく分かります。
ご本尊
薬師三尊像
石位寺の本尊は、薬師三尊と伝えられています。薬師如来は医王と称されるように、衆生の病苦を除き長寿をかなえてくれる仏さまです。
境内参拝・気が付かなければ…
※📸は撮影ポイント
※スマホを見ながら散策できるモデル順路
参道の石段
西側の参道を登れば、礼拝堂の正面に出ます。小高い丘の上に位置し、『万葉集』に詠われる忍坂山(外鎌山)山麓の古道・忍坂街道に沿って広がる歴史ある風景を眺めることができます。
石位寺の境内
境内は広くはありませんが、夏から初秋にかけて百日紅(さるすべり)の花が咲き、参拝者に安らぎを与えてくれます。
礼拝堂 📸
礼拝堂には弘法大師座像、地蔵菩薩(ぼさつ)、釈迦涅槃(ねはん)図の大掛軸ほかが祀(まつ)られています(非公開)。
本堂(収蔵庫)前の手水鉢
本堂の前には大きな石の手水鉢があり、四季の空を写しています。
本堂(収蔵庫)
昭和53年に建て替えられた本堂は、切妻造りの耐震構造のコンクリート建築で、本尊である伝・薬師三尊石仏が祀られています。