特集2024年春の高校野球奈良大会速報

特集記事

東京・奈良アンテナショップで「奈良県産」魅力発見

関連ワード:

 

見て、食べて、知って
奈良の「うまいもん」情報発信スポット

 柿やイチゴ、大和野菜やそれらの加工品など、奈良県のさまざまな「うまいもん」を購入できるのが、ともに県のアンテナショップの「奈良のうまいものプラザ」(奈良市)と「奈良まほろば館」(東京都港区)だ。店をのぞいてみれば、意外に知らない、おいしい素材がいっぱい。ここでは奈良県の食物の魅力に出合える2つの施設を紹介しよう。

 

店舗出入り口前に奈良県産野菜などの農産物が並ぶ=奈良県奈良市三条本町の「奈良のうまいものプラザ」

 

 

首都圏における奈良県の情報発信拠点「奈良まほろば館」の正面玄関=東京都港区新橋

 

 

奈良のうまいものプラザ(奈良市)

イチゴ・柿の「2トップ」が人気 奈良食材たっぷりの定食も

 春先のこの時期、奈良市三条本町のJR奈良駅1階「奈良のうまいものプラザ」前には、真っ赤な化粧箱に入った大粒の県産イチゴ「古都華」など2品種のイチゴが並び、通行人が足を止めて眺めている。品定めしていた女性の中には「大きいねえ」「おいしそうやけど、いい値段やなあ」などと感想を漏らす人も。


 一角は県産の新鮮野菜や果物のコーナーで、他にも多くの農産物が並ぶ。イチゴが店舗入り口付近の大きなスペースを割いて陳列されており、来店客もこの季節はイチゴを目当てに訪れるようだ。他のスーパーなどの食料品売り場で見かけるイチゴよりも大粒なものが多い印象を受ける。


 店内は大きく、県産の農産品コーナー、加工食品などの販売スペースと、飲食スペースに分かれる。堂土健一店長は「商品で最も売れるのはイチゴと柿なんですよ」と話す。堂土店長によると、イチゴは12月から6月ぐらいまで店頭に並び、通常でも1日に100パック程度の販売があるという。


 イチゴが終わった7月には県産のハウス柿が並びはじめ、晩秋の月ごろまでが柿のシーズンとなる。いつ訪れても、ほぼイチゴか柿が並んでいるようだ。堂土店長はこの2品目を「2トップ」と呼んでいる。イチゴは古都華が人気で、「まだ知らない人もいると思うので、店を訪れた機会にぜひ味わってほしい」と話す。


 一方、夏から秋にかけての売れ筋となる柿も「奈良県内の生産量は全国2位だが、主産地の五條市などでも多くを東京など県外に出荷するので、県内で県産の柿を売っている店は意外と少ない」と話す。「スーパーマーケットなどでは和歌山産など県外の柿が多く並んでいるが、ここへ来てもらえば全部奈良県産です」とPRする。


 同店は奈良県のアンテナショップで、堂土店長が代表理事を務める「奈良のうまいもの会」が2014年から運営を担っている。

 

農園直送レストラン

 飲食スペース「農園直送レストラン古都華」は、午前11時から午後3時(ラストオーダーは同2時30分)の昼食時にヤマトポークを使った「とんかつ農膳」(968円)、大和牛のロコモコ丼(同額)など県産の食品を使った多種の定食類があり、いずれも季節の野菜プレート(サラダ)が付く。サラダ類は別料金のバイキング形式で提供していたが、現在は新型コロナウイルス感染対策としてプレートで定食類に付けるように改めたという。取り放題ではなくなったが、リーズナブルに県産野菜のサラダを味わえるようになっている。


 また、単品ではそうめん(660円)、サラダボウル(110円)などもある。


 午前10時30分までの朝食は玉子かけご飯とサラダ、みそ汁などの和定食と、コーヒーとトーストの一般的なモーニング(洋定食)があり、いずれも440円で提供している。

 

うまいものめぐりオンラインツアー

 店内には大きなモニター画面があり、独自に制作した番組「奈良のうまいものめぐりオンラインツアー」を放映している。30分ほどにまとめられた番組で、堂土店長がレポーターとして県内の食品加工場などを巡り、同店で販売している商品の製造過程や特色などを紹介する内容。以前は実際にお客さんを募り、生産者を訪ねるバスツアーを実施していたが、コロナ禍でできなくなった。それに代わり、昨年から動画にまとめたものを放映するようになったという。

 

堂土店長が示す冷蔵品棚上のモニターでオンラインバスツアーの動画を放映中=「奈良のうまいものプラザ」

 

 3月には第2弾の番組が完成。その番組では明日香村の農産物加工場、吉野葛(くず)、御所市の醤油(しょうゆ)、奈良市の奈良漬などを紹介している。

 

「ここにしかない」出会い

 店内の陳列スペースには加工食品が所狭しと並び、県外からの観光客に人気。県内の人が他県の知り合いを訪ねる場合の手土産などに適した商品も見つけられる。


 堂土店長は「店は奈良市にあるが、扱っている商品は県中南部の生産物が多い。幅広くいろいろなものを取りそろえているので、ここに来れば県全体のコアなものが楽しめる」と話し、「道の駅や産直ショップとはまた違うものと出合える」と自信をのぞかせる。

 

 堂土店長によると、県産の農産品は「いいものが多くあるが、柿などの一部の品目を除き、生産量が少ないものが多い」という。そのため、いつも買えるというわけにはいかないものも少なくないようだ。一方で「『ここにしかない』という珍品に巡り合うこともできるので、楽しみに度々訪れてほしい」という。

 

 営業時間は午前7時から午後9時まで。

 

奈良まほろば館(東京都港区)

首都圏の情報発信基地がリニューアル 奈良県産食材で、風土・歴史を再現 

 首都圏における奈良県の情報発信拠点「奈良まほろば館」は2021年8月に東京都港区新橋1の8の4、SMBC新橋ビル1、2階でリニューアルオープンした。奈良の観光情報発信と県産品販売に加えて新たに県産食材を使ったレストラン&バル「TOKi(とき)」が開店した。同館は12年間にわたり拠点を置いてきた東京都中央区日本橋室町から移転した。


 2階のイベントスペースでは奈良に関する講座やワークショップ、展示会などが開催できる。県内の有名寺院僧侶による法話会や県内企業の製品展示会などコロナ禍で開催条件の制限がある中、予防対策を講じた上でさまざまなイベントを開いている。今年2月にはタレントを招いて県産イチゴのPRイベントを開催した。


 1階ショップでは県産野菜や加工食品、地酒をはじめ、赤膚焼や一刀彫などの伝統工芸品のほか、奈良に関する絵画や書籍を販売している。店内には柿の葉すしや三輪そうめん、かき氷などを提供するカフェ・バーが設けられ、気軽に奈良の食が楽しめるスペースとなっている。


 また、観光情報を発信するインフォメーションコーナーにはコンシェルジュが常駐し来館者に向けて奈良の観光や食事処の情報を案内している。店舗正面のガラス面には8K120インチモニター2機を設置し県内の風景や年中行事などの映像を放映している。

 

新商品開発・販売チャレンジ支援

 ショップでは新商品の開発、販売などに取り組む県内事業者を支援する県の事業「まほろばチャレンジリーグ」を定期開催している。1回につき公募で選ばれた食品から工芸品まで約10事業者10商品を期間限定で販売し売上高などを競う。県は会期終了後に成績上位の4商品を選出し同館で販売を継続し定番商品化を支援する。県内事業者に首都圏での販売機会を提供するとともに、販売実績や来場者のアンケートを通して各商品のブラッシュアップに生かしてもらう。

 

 出品者の参加条件は、自社で開発、生産▽県内で製造▽県と関連性のある商品▽これまでに奈良まほろば館で販売した実績がない―などの基準をクリアした商品を選ぶ。同館は、これまでも県産の農産物や特産品の消費・販路拡大を目指して新商品の発掘、販売を推進してきた。昨年12月と今年1月の回では醤油、葛湯、うどん、カレーなどが出品されて好評を博した。今後も新たな魅力ある商品づくりを支援していく予定だ。

 

東京で味わう極上の奈良

 「TOKi」(2階)は、奈良市水門町のレストランシェフ川島宙さんがプロデュース。スペイン・バスク地方のモダンスパニッシュの名店「ムガリッツ」で経験を積んだ川島さんが奈良の自然と風土を感じさせる革新的な料理を提供。こだわりの県産食材と奈良の歴史、季節感を織り交ぜた創作スペイン料理で首都圏の舌の肥えた客をうならせている。また、県産の伝統工芸品を使った食器や県産木材や和紙で内装を施し上質で洗練された雰囲気を演出している。

 

上質な雰囲気のレストラン&バル「TOKi」=「奈良まほろば館」2階


 昨年12月に続き、今年1月と2月には、首都圏の消費者へ県産食材のおいしさと豊かな食文化への理解を深めてもらい、県産食材の消費拡大と食を目的とした観光需要の増加に向けた取り組みとして「進化する奈良の食を満喫する特別食事会」を開催。1月は「山」をテーマにコース料理を構成。紀伊山地や生駒山地、金剛山地など自然豊かな山々に囲まれた奈良のジビエや果実、自生する食材などの山の幸を五條市の野鹿や「ばあく豚」、宇陀市の栗などと合わせて振る舞った。2月のテーマは「川」。急峻(きゅうしゅん)な山地を水源とする川が育む肥沃(ひよく)な大地は豊かな食材を生み出していて、その清らかな水から作られる茶やうどん、豆腐、清酒など奈良発祥と言われる食材を楽しんだ。各回とも料理に合わせてミニセミナーを開き、奈良の食材や料理にまつわる伝承や行事、観光資源を紹介した。


 古川義富美館長は「奈良のことをよく知らなかった人に届く情報発信に努めている。その中で奈良にはおいしい食がたくさんあることを多くの人に知ってもらいたい」と力を込める。


 同館の床面積は1、2階合わせて約904平方メートル。営業は、1階のショップは年中無休(年末年始は除く)、2階「TOKi」は月曜と第2、4日曜休み。営業時間はホームページで確認できる。

関連記事

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド