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まるごと学ぶ 「なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)」とは?

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「おいしい!」生み出すプロの卵たちを育成

小人数制で育成
実践に強い「食と農」の担い手

 「なら食と農の魅力創造国際大学校」(通称NAFIC=ナフィック)は2016年4月、奈良県農業大学校を改編して開校。農作物の栽培から流通、調理、食卓に届くまでの流れを熟知し、安心で信頼できる食を支える人材を育成。カリキュラムは食と農の分野を横断し、実践の場で役立つ技術やノウハウの習得を大切にする。


 1学科定員20人の少人数制。フードクリエイティブ学科(安倍校舎、奈良県桜井市高家)では、農業や農作物の知識を持つ「食の担い手」を育てる。フランス料理をベースに調理技術と幅広い知識を身に付けるほか、校舎に隣接する宿泊施設付きレストラン「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井」(指定管理者ひらまつ)などで実践力を磨く。アグリマネジメント学科(池之内校舎、奈良県桜井市池之内)では、高い農業技術と経営力を併せ持つ「農の担い手」を育成する。

 

「1人1ストーブ(コンロ)」方式の調理実習(NAFIC提供)

 


農家での実践実習(NAFIC提供)

 

 3月にNAFICを卒業したばかりの2人の5期生に、NAFICで学ぶ魅力や奈良の食の魅力について聞いた。

 

 

幅広い知識と調理技術で「食」学ぶ

「食べた人の笑顔が力に」

フードクリエイティブ学科5期生
越智 仁彦さん(20)=奈良県奈良市

 

 ―食を志した理由は。

 

 料理との出合いは添上高校の料理部でした。みんなで料理を作って食べるのは楽しく、高校2年の夏、母の勧めでNAFICのオープンキャンパスへ。調理実習を体験し、「趣味でやっていた料理と全然違う。自分もプロを目指したい」と志願しました。

 

 ―NAFICの魅力は。

 

 少人数制で「1人1ストーブ(コンロ)」方式で調理実習し、丁寧に教えてもらえる環境です。授業で飲食店を食べ比べし、料理のラストを彩るデザートにひかれました。そこで製菓の先生が自分のために資料やレシピを提案してくださり、さまざまなメニューに挑戦。技術、感性を磨きました。

 

 ―印象に残る経験は。

 

 卒業前の2年生がオーベルジュで腕を振るう「卒業レストラン」で、担当していたデザートの品目が話し合いで二転三転。考えていたデザインが何度も使えなくなりました。根気強くやり直し、最後は仲間や家族から味や見た目を褒めてもらいうれしかった。食べた人の笑顔が何よりの原動力と感じました。

 

 ―将来の夢は。

 

 4月から奈良市内の結婚式場のレストランに勤めます。お客さまに喜んでいただけるよう盛り付けにこだわり、奈良産のイチゴやカキなどを使ったメニューで県外にもPRしていけたら。

 

 ―奈良の食の魅力とは。

 

 奈良は歴史があり、豊かな自然の中で食事を楽しめるのが魅力。地産地消の店も増え、予約が取れないほどの人気店もあります。

 

大和平野を見晴らせるオーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井=NAFIC安倍校舎(奈良県桜井市高家)

 

「地産地消メニューをPRしたい」と話すフードクリエイティブ学科5期生の越智さん=奈良県庁(奈良県奈良市登大路町)

 

 

高い農業技術と経営力で「農」学ぶ

「日々の品質管理で信用」

アグリマネジメント学科5期生
志野 光寛さん(49)=奈良県橿原市 

 

―農業を志した理由は。


 食べることが大好きでホテル業界に入り、ドアマンから支配人、会社役員などを務めました。「人生後半は食と農を両輪で回せないか」。家族に相談し、40代半ばで就農を決意。電車の広告でNAFICを知り、充実した施設に驚きました。


 ―NAFICの魅力は。


 農業初心者で器具の名前を覚えることから始め、将来の農場経営を想定して1人1ほ場(農地)を管理。経験豊かな先生のサポートの下、実践的な学びがあります。敷地内の県農業研究開発センターでは品種開発も行われ、食の川上から川下までコミュニケーションがとれる環境は他にない魅力です。

 

 ―印象に残る経験は。


 「農家にとっては数千パックの中の一つでも、消費者にとってはその一つがすべて。農業は自分との闘い」。インターン先のイチゴ農園で教わったプロの心構えです。品質管理の積み重ねが信用につながるのはホテルと同じ。「自分に厳しく」と胸に刻みました。

 

 ―将来の夢は。

 

 卒業後は桜井市吉備でイチゴ農園を始めます。息子3人は「イチゴがいっぱい食べられる。手伝うよ」。妻は「できるだけのことはする」と応援してくれています。食関連やエンターテインメントなど異業種の人とネットワークを作り、奈良を盛り上げたい。NAFICの仲間と海外輸出も目指します。

 

 ―奈良の食の魅力とは。

 

 県はイチゴやカキなどの開発に力を入れ、新しい品種が次々に生み出されています。昔と変わらぬ奈良の原風景や、そこに生きる人、そんな人が作る食材や料理など、全てを含めて奈良の食の魅力だと思います。

 

アグリマネジメント学科の「ほ場」があるビニールハウス=NAFIC池之内校舎(奈良県桜井市池之内)

 

「ネットワークを作り奈良を盛り上げたい」と語るアグリマネジメント学科5期生の志野さん=NAFIC池之内校舎(奈良県桜井市池之内)

 

 

夢実現へ 卒業生次々と

次世代の食の担い手をサポート

 角山 美穂 校長

 

 これまで145人の卒業生がNAFICから旅立ちました。県内外のレストランやホテル、食や農の関連会社への就職、飲食店の開業や新規就農、親元就業や経営継承―など、「食の担い手」として歩み始めています。


 本校には、「食」や「農」の道を志す意欲あふれる人たちが集います。高卒以上から年齢は問いません。興味のある人は、ぜひオープンキャンパスでNAFICを体験してみてください。皆さんの夢を実現できるよう、NAFICの講師陣が全力でサポートします。

 

「なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)」 角山 美穂 校長

 

 

<なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)オープンキャンパス>

◆フードクリエイティブ学科
 4月23日、5月15日の両日午前10時30分~午後2時20分。定員10組(先着順)。学校説明や施設見学のほか、フランス料理実習の体験(試食付き)がある。申し込みは開催日の10日前まで。

 

◆アグリマネジメント学科
 5月8日午後1時30分~午後3時30分。学校説明や施設見学、農業実習体験で野菜を収穫する。定員20組(先着)。申し込みは5月2日まで。

 詳しくは同校ホームページ(https://www3.pref.nara.jp/nafic/)を参照。

 

 

<施設概要>

◆なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)
〈フードクリエイティブ学科〉
 NAFIC安倍校舎、奈良県桜井市高家2217。電話0744(46)9700
〈アグリマネジメント学科〉
 NAFIC池之内校舎、奈良県桜井市池之内130の1。電話0744(47)3430

 

◆オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井
 フードクリエイティブ学科敷地内の宿泊施設付きレストラン。大和野菜など県産食材を使い、「日本発」のフランス料理を提供する。
 ランチ8470円、ディナー1万8150円(税サービス料込み)。宿泊1室2万3400円~(1人1万1700円~、税込み、食事代は別)。スイート(約87平方メートル)2室とツイン(約30平方メートル)7室。
 予約や問い合わせは、電話0744(49)0880。

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