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「なら歴史芸術文化村」オープン 文化発進、観光拠点に

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「なら歴史芸術文化村」の魅力紹介

 奈良県が約100億円を投じて整備した道の駅の機能を持つ、歴史文化芸術の複合施設「なら歴史芸術文化村」が3月21日、天理市杣之内町にオープンした。国内初となる文化財4分野の修復作業現場の公開や、国内外から招いたアーティストとの交流、子どもを対象とした芸術体験教室などが展開される。宿泊施設や農産物の直売所も併設しており、天理市東部地域の観光の起爆剤としても期待される。文化村の魅力を紹介する。

 

 

対話型の鑑賞スタイル

 文化村の玄関口に位置する「文化財修復・展示棟」では、仏像等彫刻▽絵画・書跡など▽歴史的建造物▽考古遺物―という4分野での文化財修復作業現場を通年公開する。国内では初の試みだ。

 

 文化財修復技術への関心を高め、奈良の文化を次世代へ伝えることを狙う。また、修復作業などの専門人材の育成にも取り組むという。

 

 「単に展示物を見学するという、一方向の解説を聞くことだけで終わらせない。専門家や他の参加者と対話しながら、知的好奇心を広げて学びを深めてほしい」と、奈良県の担当者。

 

 同展示棟では、ガラス越しから修復作業を見学するという従来型の鑑賞ではなく、専門のスタッフが来訪者の疑問に答えたり、レプリカに触れるなど、対話型鑑賞スタイルを提供する。

 

文化財の修復作業が見学できる文化財修復・展示棟=天理市杣之内町

 

アーティストとの交流 芸術体験

 文化村の中央に位置する芸術文化体験棟では、国内外から招いたアーティストとの交流や、未就学児を対象とした芸術体験、伝統芸能、文化講演会なども予定している。

 

 同棟内ではホテルで滞在しながら芸術作品を制作したり、来館者との交流を目的としたワークショップも実施する。

 

 さまざまな幼児向けのアートプログラムも用意する。子どもたちの主体性を大切にしたイタリアの教育法「レッジョ・エミリア・アプローチ」を参考に絵画や工作、音楽などの体験教室などを開く。

 

 荒井正吾奈良県知事は「未就学児に自己表現を育ませる拠点にしたい」と意義を語る。

 

 また、272席を備えた大ホールを併せ持つ。ホールは音響設備が充実しており、リサイタルやコンサート、発表会、講演会の開催も可能だ。セミナールームでは会議や研修、各種講座などで利用できる。

 

 

人気の「まるかつ」出店 地元産品ズラリ

 「交流にぎわい棟」には、県産農産物や伝統工芸品などを販売する直売所が入る。地元産の大和野菜やイチゴをはじめ旬の果物のほか、朝採れの野菜なども並ぶ。

 

 直売所の奥には、奈良市神殿町の人気とんかつ店「まるかつ」が出店する。県産食材を使った料理が味わえるカフェも併設。ガラス張りで眺望も良く、「食」の拠点として注目が集まる。

 

 2階の実習室や多目的室では、奈良県の食と農について、歴史文化的背景を交えて体験して学ぶ、講座や料理教室などを定期的に開催する。調理実習室は貸室としても利用できる。

 


地元の農産物などが販売される直売所=天理市杣之内町

 

 

「マリオット」の宿泊特化型ホテル

 同村内にはホテルも併設する。文化村での立地に目を付けたのは、積水ハウスと米ホテル大手マリオット・インターナショナル。全国各地の道の駅などで展開する宿泊特化型ホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」が開村と同時にオープンした。

 

 奈良県内では初の開業。ホテルを拠点に、食事や買い物は道の駅や地元店の利用を促すことで地域経済の活性化を図る。

 

 同ホテルは4階建て敷地面積約5120平方㍍、客室数は99室。全室平均25平方㍍、シャワーとトイレ付き。価格は1室1万4500円(最大2人・税金・サービス料込み)から。

 

 素泊まり型のシンプルなホテルだが、地元食材をふんだんに使った朝食付きのプランもある。食事は道の駅など、外部施設を利用する。

 

 同ホテルの担当者は「当ホテルを拠点に、古都奈良の歴史、文化、伝統などの魅力を堪能する旅をお楽しみください」と話す。

 

奈良県内初進出となる宿泊特化型ホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」=天理市杣之内町(同ホテル提供)

 

 

周遊型観光 シャトルバスも運行

 同文化村はJR・近鉄天理駅から南東へ約3㌔。奈良盆地の東部山地の裾野に位置しており、県南東部への周遊観光の拠点としても期待される。

 

 情報発信棟では、周辺の道路交通情報に加えて、奈良県全域の歴史文化資源や観光などの情報を発信する。案内人も配置し、観光案内・施設案内を行う。情報発信棟内のトイレと授乳室は24時間、利用可能だ。 

 

 天理駅からタクシーか、奈良交通バス(桜井駅北口行き)「勾田(まがた)」下車で徒歩約15分。天理駅前からシャトルバスも運行している。詳しくは同村ホームページまで。

 

 

なら歴史芸術文化村の総括責任者 福原稔浩さん(65)
体験通じ「深い学び」を

 

 元近鉄名物広報マンの福原稔浩さん(65)=奈良県大和郡山市在住=が「なら歴史芸術文化村」の総括責任者を務める。同社で約30年間培った広報マンのノウハウを生かし、文化村の魅力を発信する。
 

 福原さんは大阪市西淀川区の生まれ。1975(昭和50)年、近鉄に入社。駅員や車掌、運転手などを務め、1994年に広報部に配属された。映画などの撮影を誘致する「近鉄グループロケーションサービス」を立ち上げる。香港の映画監督、ジョン・ウー氏に「ぜひ関西で撮影を」とPRした「マンハント」(2017年)では、近鉄奈良線の日本橋—鶴橋間の線路を深夜に閉鎖し、電車を逆走させて撮影した。


 退職後は、ラジオやテレビ番組に出演。「女子鉄アナ」の久野知美さんやホリプロマネージャーの南田裕介さんとともに、臨時列車の車内でトークショーも企画する。 

 

 そんな中、一昨年になら歴史芸術文化村の関係者から「得意な発信力を生かして運営をサポートしてほしい」との依頼があった。

 

 鉄道の知識はあったが、歴史や芸術に詳しくなく、当初は断るつもりだった。ただ、「40年間、奈良県に住んでお世話になったが、何も恩を返せていない」と一念発起し、総括責任者を引き受けた。


 奈良県の歴史や文化、芸術のほか、山の辺の道や古墳群など文化村周辺について学んだ。県職員や天理市の職員、地元住民ほか、施設の運営業者とコミュニケーションを積極的にとる。


 「奈良公園や東大寺などのようにメジャーではないが、魅力の詰まった地域。行政や地元の方々も協力的で必ず事業を成功させる」


 開村後、これまでの人脈や発信力を生かしてツアーの開催や番組の出演、講演活動などで文化村の魅力を伝える。また、文化財修復作業の公開や解説に触れて学ぶことができる仏像などのレプリカ展示などを実施するとともに、文化財修復など「深い学び」につながる体験メニューを提供するという。 

 

 文化村では子どもたちの芸術性や食に関する知識を高めることも主眼に置き、「知る・学ぶ・体験する・楽しむ」ことを通じて本物にふれ、「新たな視点・感性」が生まれる場となることをコンセプトとしている。お絵描き体験や調理実習などを行い、未就学児の教育にも力を注ぐ。

 

 福原さんは「文化村から県全体の魅力をPRする。子どもや歴史好き、地元住民でにぎわう村にしたい」と意気込みを語った。

 

なら歴史芸術文化村から県の魅力を発信する福原稔浩さん

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