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河合町×ニッセイ聖隷健康福祉財団 連携協定締結 - 対談:清原和人河合町長×古市健ニッセイ聖隷健康福祉財団理事長

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河合町×ニッセイ聖隷健康福祉財団 連携協定締結

昨年12月、河合町とニッセイ聖隷健康福祉財団は連携協定を締結。

持続可能なまちにするため、互いのシーズを共有することを確認した。

町は町制50周年を迎え、同財団が運営する介護付有料老人ホームを軸とした総合シルバーサービス施設で同町にある奈良ニッセイエデンの園も今年4月で30周年を迎える。

「奈良ニッセイエデンの園」は、1989年に高齢社会に対応した健康・福祉の実現を「まちづくり」という視点から推進する「ふるさと21健康長寿のまちづくり事業」(厚生省・当時)に、いち早く取り組んだ施設。日本生命保険と聖隷福祉事業団が共同してつくったニッセイ聖隷健康福祉財団が運営している。超高齢社会が進む中、連携協定をもとにこれからどのようなまちづくりが発展していくのか。

清原和人河合町長と古市健ニッセイ聖隷健康福祉財団理事長(日本生命副会長)に対談いただいた。

 

 

対談:清原 和人 町長×古市 健 理事長

清原町長「高齢者の力をまちづくりに」:古市理事長「多世代間の交流の場づくりを」

 

◆連携協定のきっかけについて教えてください。

 

清原:

ニッセイ聖隷健康福祉財団は、高齢社会の到来が迫った1989年に厚生省が打ち出した高齢社会に対応したまちづくり構想にいち早く取り組まれ、全国で第1号の認定施設が町内にある奈良ニッセイエデンの園でした。

以前から小学校の通学路で園のご入居者とスタッフさんが児童らへお声掛けいただいたり、下校時の見守り活動をしていただいているなど、日常的な取り組みにも感謝しています。

町長に就任した当初、奈良ニッセイエデンの園さんの夏祭りに参加させていただき、地元住民の方々がたくさん来られていました。この時とても地域に寄り添っていただいていると感じました。

当町は、町制50周年を迎え、次の100年に向けても考えていく時期にきました。

奈良ニッセイエデンの園さんも今年4月で開園30周年を迎えられるということで、一緒に何かやっていけることはないかということになり、これまで培ってこられたノウハウをぜひ活用させていただき、超高齢社会でも持続可能なモデルタウンを目指すべく協定を結ばさせていただきました。

高齢社会対策の最先端を担っている施設が本町にあり、この連携協定を機にさらに多世代間の交流の機会を増やすなど、つながりを深めていきたいと考えています。

 

古市:

連携協定がお互い50周年、30周年という非常に良いタイミングで結べたことに感謝します。

1989年、厚生省が「ふるさと21健康長寿のまちづくり事業」をスタートさせました。これは来たる高齢社会に対応した健康・福祉の実現をまちづくりという視点で推進しようという当時では相当先進的なもので、日本生命と聖隷福祉事業団が共同し、具体化させたのがニッセイエデンの園です。

財政的にも厳しい時期もありましたが、試行錯誤を重ねながらここまで続けることができました。

あれから30年が経ち、今日的にはSDGsが求められています。当時の構想に時代がマッチしてきておりますが、さらに未来を見据えて、このニッセイエデンの園のあり方も今一度見つめ直す良い機会がきたと思います。

 

◆関係性を強化していくためにお互いにできることは何でしょう。

 

清原:

町として常々考えているのは、魅力あるまちづくり、その魅力をどのように発信していくか。また、人口増にはどのような施策が必要かということです。

町内は由緒ある廣瀬神社や大塚山古墳群、広大な馬見丘陵公園など、深い歴史と優良な環境に恵まれています。また、大阪からのアクセスもよく県内を結ぶ幹線道路、そして全国屈指の進学校である西大和学園もあります。こういった魅力を見直し、最終的には「河合町に住みたい」「住むなら河合町」というまちづくりを実現していきたい。

奈良ニッセイエデンの園には、多様な経験やスキルを持った方がご入居されていると聞いています。

こうした方々の経験・知見を町民にもフィードバックしていただけますとありがたい。

 

古市:

財団が30年で培ってきたことをしっかりフィードバックできればと思います。

超高齢社会になって高齢者の方も生涯現役でご活躍いただく社会的ニーズが増しています。高齢者を地域活性化のための大切な人的リソースとしてとらえ、元気な高齢者にもっと活躍できる場を提供し、交流をさらに深めて、力を発揮していただきたいと思いますし、それが元気な高齢者が元気であり続けることにもつながると信じております。

おそらく河合町はこういったコミュニティづくりを実現できる地域であると思います。河合町はベッドタウンでもありますし、中間世代も多くお住まいです。さらには河合町が掲げる「河合愛AI構想」でこれからもさらに活気を取り戻されることでしょう。園のご入居者やスタッフも一緒になって、活力あるまちづくりの応援にご協力できると思います。

ご入居者も若い世代と交流することが良い刺激になると思いますので、こちらから何かご提供できる機会があれば積極的に行っていきたいと考えます。

 

ニッセイ聖隷健康福祉財団理事長(日本生命保険相互会社代表取締役副会長)

古市 健 氏

ふるいち・たけし 1977年東京大学卒、日本生命保険入社。副社長などを経て2016年7月から副会長。当財団理事長。関西経済同友会代表幹事。東京都出身。67歳

 

河合町長

清原 和人 氏

きよはら・かずひと 1976年天理大学外国語学部卒、小・中学校教育をを経て2009年から河合町町立河合第一小学校長。2015年4月から河合町議会議員。2019年4月、河合町長に初当選。河合町出身。68歳

 

 

◆30年前からの事業でやってきてよかったことは。

 

古市:

日本生命は安心・安全をお届けする会社としてのブランドを作り上げてきました。この間、ブランド表現と社会が求めるニーズは「メセナ」「CSR」「SDGs」と変遷してきましたが、日本生命としてその時代その時代に合った姿を求めてきました。

私たちは企業として何ができるかを考えました。例えば病院をつくり、子どもたちのために劇場をつくったりなどさまざまな社会貢献を行うことが安定した経営にもつながるという思いで実行していきました。

「奈良ニッセイエデンの園」のように。高齢者と関わることでシニア層のニーズが自然とわかったりということもありました。

 

 

◆高齢社会で地域が縮小していくなかで求められるのは「血縁」「地縁」といった従来の「縁」に加え、

 「知縁」という「知」をキーワードにした縁が大切です。

 

清原:

少し観点を変えていくべき時代がきたと思います。河合町は県内でも屈指の健康長寿の町です。

現在でも中央公民館では定期的に生涯学習、文化・芸術、健康・スポーツの3学部からなる「町民大学」を開校していますので、奈良ニッセイエデンの園のご入居者の方々に講座などを受講していただくことはもちろん、その講師になっていただくのも一つではないでしょうか。町としても、力を発揮いただけるような場をつくっていきたいと思います。

さらには場の広がりも期待できます。旧河合第三小学校跡に新たな中央公民館と高機能広域防災拠点を兼ねた体育館も整備する予定です。ここにもぜひ参画いただきたいと思います。大切なことは、まちと施設と分けるのではなく、できるだけオープンな場で自然なコミュニティや教育の場づくりを行うことだと思います。

 

古市:

今までも奈良ニッセイエデンの園では夏祭りや下校時の見守り活動などを行ってきた実績がありますし、クリニックやフィットネスクラブ、ふれあいプラザなどもご利用いただいたり、つながりは築いてこられたと思います。今回の協定の締結をきっかけにもう一度、お互いに何ができるのかをフランクに話しあって、具体的なアクションに移行できる段階にきていると思います。

奈良ニッセイエデンの園のご入居者20名にご協力いただいて、今春よりスマートフォンなどを使っていない高齢者がデジタルデバイスを活用することでどれだけウェルネスが向上するかなどICTを使った調査を開始する予定ですが、ぜひ将来的には河合町民の高齢者にもご参加いただきたいと思います。

 

奈良ニッセイエデンの園のご入居者とスタッフによる河合第二小学校「下校時の見守り活動」(月~金曜日実施)

 

旧河合第三小学校清掃活動

 

 

◆高齢化といった地域の課題は世界の先進国でも共通の課題です。

 

古市:

日本は経済先進国ですが、同時に課題先進国とも言われています。最大の課題は少子高齢化なのです。

超高齢社会でも安心・安全を確保し、健康長寿を伸ばして活力ある生活ができる社会を実現できれば、これから世界が高齢化していく中で日本がリードしてソリューションを提示できる存在になれると思います。

ライフサイエンスやウェルネスケアなど、超高齢社会だからこそ生まれるニーズがあり、ビジネスにつながっていくのではないでしょうか。少子高齢化をチャンスと捉える視点が大切です。

 

 

◆超高齢社会の課題解決のために調査、実験を行うエビデンスの場が必要となります。

 

清原:

「生涯元気に過ごす」。口では簡単に言えることですが、実行は難しいことです。

ですから、一歩一歩できることから進めていくべきで、若い世代と高齢者が交流することも一つだと思います。核家族化が進む中、祖父母に学ぶという子どもが減っています。実体験が少なくなっているので、子どもたちにはできるだけ高齢者と交流してさまざまなことを学ぶ実体験の場を用意してあげたい。

昨年開園した「かがやきの森こども園」では園のそばに畑を設置し、地元のボランティアの方々に指導していただいているのですが、まずはこういったふれあいが必須になると思います。

 

古市:

ぜひ、そういった体験ができる場になるよう、また、交流が盛んになるよう、既存の施設をさらにオープンなものにしていきたいと思います。

若い世代と高齢者が交流することによって何かが生まれることは確かで、その環境を河合町内で実現できる「場づくり」に貢献したいと考えています。

 

 

◆本日のご感想などをお願いします。

 

清原:

古市理事長と意見交換ができ光栄です。また、双方の思いの共通認識を持てたことにより、具体的な事業を進めることができると手ごたえを感じました。今後は垣根を超えて、河合町へのご支援をお願いします。

 

古市:

私もお会いして、直接お話でき、良い体験となりました。また、われわれが進んできた30年を今一度見直す良いきっかけになりました。

 

 

■「ふるさと21健康長寿のまちづくり事業」とは。

1989年6月に施行された「民間事業者による老後の保健および福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律」に基づく事業。「高齢者保健福祉推進十か年戦略(通称=ゴールドプラン)の一環として、高齢社会に対応した健康・福祉の実現を「まちづくり」という視点で捉えて推進すべく、地域社会の中に高齢者にとって必要な健康・生きがい・安心その他に関連する各種機能を総合的・計画的に整備するために1989年に厚生省(当時)がスタートさせた。

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